拾月 第弐週


  ああ、なるほど 腫れているのね だからなのね

                                                守餌象

  オジサンに 変なナンパを されました

                                                舞無舞無

ナンパだったのか何なのか・・・。その実、良く分からないんですけどね。
残業を終えての会社帰り、時間は10時半過ぎ。
自宅最寄り駅に降り立った私は、「晩御飯」について一心に考えていた。
サイゼリヤ(開いてるファミレスがそこしかない・・・)に寄ってガッツリ食うか。
コンビニ弁当を買ってガッツリ食うか。
マックでビックマックセットを買ってガッツリ食うか。
家で作ってガッツリ食うか。
10時過ぎだから・・・食べちゃダメだよne! とか、軽めに・・・! とかいう、新陳代謝が落ち始めた30代女子的な発想は微塵もないわけで。
オンリー・ガッツリ。頭の中では「肉、肉、肉、肉!!!!」というちょっとした獣のようになっておったのじゃった・・・。
「んんん〜。やっぱりサイゼリヤかな〜。でも、惹かれるような肉メニューがないんだよな〜。
・・・羊肉復活させてくれないかな〜」
とか何とか色々考えながら歩いていたら、正面からふいに声を掛けられた。
「あのう、イトーヨーカドーの入口ってここ・・・ですよね?」
丸っこい顔の、キューピーちゃんのようなオジサンだった。(頭髪の辺りが)
『ハァ。入口は・・・ここ・・・ですねぃ』
すげー「困ってる」オーラが出ていたので、思わず立ち止まって答えた。情けは人の為ならず。
「ですよね・・・。あの、10時に東口のヨーカドーって言われたんですけど、まだ、相手が来なくて・・・!」
・・・不思議な待ち合わせ場所だな、オイ。
まぁ、確かに混雑の改札よりは、閉店(食料品売り場はやってるが)したヨーカドー入口前の方が人通りもなく、適してるかもしれんが・・・。
「ハァ。でも、東口のヨーカドーは間違いなくここですから・・・。携帯に電話してみたら如何でしょう?」
うん、俺、イイコト言った! っつーか、それくらいしか言えん!!
「早くいらっしゃるといいですね」
爽やかに言い残し、私はサイゼリヤに向かうべく、オジサンの前を通り過ぎた。(←いつの間にか決まってる)と、思い出した。
「あ、このヨーカドーって5階にも出入口あるんだった!!!」
そう、何故か2階と5階にひとつずつ出入口があるんである。因みに、私、ヨーカドー館内が開いているときは、2階の入口から入って5階から出ると、坂の上り下りをしないでいい仕組みになっている。
もしかしたら、相手は5階の入口の方を指定してたんじゃないか? 
・・・まぁ、ちょっと・・・かなり・・・変だけど。(10時にその入口に行くためには、わざわざ非常階段を上らないとならず、5階の入口のほうに出ても・・・何もない。どうせ待ち合わせるなら、2階入口のほうが後の行動に便利)
「教えてあげよ〜」と思い、私は来た道を戻った。
何でそこまで親切だったかというと・・・今の部屋を契約するときに、私自身が2階入口と5階入口を混同して20分ほど迷ったという、苦い思い出があったからだ。
「あの、ですね、5階にも出入口があることを思い出しました!! もしかしたら、そっちでお待ちなのかも」
戻ってきた私に、オジサンはビックリした様子だった。
『そう・・・なんですか』
「はい。そこの非常階段をずーっと上まで上っていくと出られますから。じゃ!」
うん、俺、良く気付いた!! いつもこれくらい頭が回れば、あれで、それなのにな!!! 
非常にご満悦で、さぁ、今度こそサイゼリヤに・・・と行きかけたとき。
「ありがとうございます。あの・・・良かったらお茶でも」
って言われた。
はう?! 心の中の八千さんが奇声をあげた。(←今回公演を見に来ていただけると分かります)
『いや、あの、待ち合わせ・・・?』
「来るまでの間だけでも・・・」
意味分かんねぇぇぇ!!!!!!!!
『あの、私、サイゼリヤに行くんでっ!!!(←危険。行き先教えてるし)』って言って、ダッシュで逃げた。
無論、サイゼリヤには寄らずに。
家に戻って、買い置きのカップラーメン啜りながら、「あれは一体なんだったのか・・・」と考えるも、さっぱり分からないのだった・・・。

  お目当ての チキンカツが 売り切れて…

                                                紀之一多

【食べたかっのに…】
その日のお買い得商品なのに…午後六時半の時点で『売り切れました』とは一体!?
キミんとこのスーパー確か午後十一時とかまでやってたよねぃ?
ならばあと約五時間!
惣菜売り場の揚げ物班は一体何してんだアァ!?隣の精肉コーナーに鳥あんだろコラ!それ揚げてくれよ!
今日のオレはずーっとチキンカツ気分だったんだよコンチクショウがあああああああああああああああ!!(怒)
…とまぁ、ただ今の僕の気持ちを率直に書き表すとこうなりますがね…。
プチ紳士ですからね…『売り切れました』の看板の前で寝転がってダダをこねたりはしませんでしたがね…。
ふふふ…ペコリか…。(ごめんなさい看板に、頭をさげる店員のイラストがついている)
ペコリねぇ…ペコリ…ペコリじゃねぇんだよこのスットコドッコイ野郎があああああああああああ!(爆)
本当にすまないと思うんなら、担当者よ、貴様がその揚げ物台に正座してわびよ!
買えなかった客ひとりひとりに泣いて謝れ!
もしくは何故こんな事態になったのか、顛末書を作成して配り歩けィ!
そこまでしてくれたら、僕も大人だ…最高に爽やかな微笑みを残してその場を去ろう。
しかしながらこのやり場のないチキンカツへの憧れは一体どこへ向かえばよいのでしょうか…月影星之介です。
あんまりにも切ない気持ちになったので、いっそチキンカツとは何らゆかりのないものを買って帰るとします。
さようなら…。
ああ…あのスーパー…凄い権力を持ってして、ペシャンコに潰したいなぁ…。

チキンカツ王子月影星之介




A Theatrical Campany yakoudou