ベランダに 介錯請うてか 蝉が来た
舞無舞無
できねぇぇぇ!! オラにはできねぇだ!! おさむれぇさん、頼むから他所に行っておくんなせぇ!!!
今、我が家のベランダに死にかけの蝉が転がり込んできました。「すまぬが、ここでしばし・・・」と言ってるんだか言ってないんだか知りませんが、ジジジ、ジジッジ・・・と、苦しげに啼いております。
ゴガン、ゴガン!! ゴン! 悶えて暴れております。
怖い〜!! 助けてぇぇぇ〜!!! 窓が開けられない! 洗濯物が取りこめない!! 死にかけの蝉、ちょー、こぇぇぇ!!!!
えー、ちょっと静かになったんで様子を見にいってきました。・・・ひっくり返って、足をジタバタさせてました。
いっそのこと、思い切って楽にしてやるのが優しさ? でも近寄れない。じっとして身を任してくれるならいいけど、万が一、こっちに向かって特攻かけられたりしたら、私の方が驚いて心臓麻痺で死ぬかもしれん。
可愛いオンナノコぶるつもりは、さらさらないのだが、蝉は怖い。声とか身体とかデカイし。捨て身だし。
こないだの稽古の帰り道、横にいた竹原くんがヒョイとつまみ上げるのを見た途端、叫んで逃げたからね、私。
すげぇ大荷物でガラゴロ(カート)とか引いてて、暑さで頭とか朦朧としてたのに、瞬時に覚醒して、ピンチに陥ったときのキン肉マンの如きパワー(火事場のクソ力)を発揮して、逃亡したからね!
ちっちゃい蜘蛛とか、ムカデとかGの虫とかは、そりゃあ嫌だけど・・・比較的冷静に対応できる方だと思う。
現に、最近、Gの虫を良くベランダで見る(何処から来てるんだか。下の部屋がバルサン焚いてるんじゃないかと践んでいる)んだが、「きゃあ!」とも言わずに、黙って部屋にとって返し、その辺にある「地域新聞」などを手にして、叩きつぶす・・・勇気はないので、せっせと隣の部屋に追いやっている。とっても冷静。
古い話だが、会社のオンボロビルで捕獲されたネズミを水死させてゴミ置き場に捨てに行ったのは私だ!
女子は勿論、男子すら嫌がってやらなかったから!! 私だって嫌だったぞ!!! でも、仕方ないからやった!
ならば、今、ベランダで悶えてる蝉もそうすりゃいいじゃん、って話なんだが、いやぁ、蝉は無理。
地域新聞を近づけた途端に生き返るような気がするし。それこそ、火事場のクソ力的なあれでもって、ジジジ!とか言いそうだから、追いやったらバレるし。
追いやるんじゃなくて、ベランダの外に放り出すって言う手もあるんだけど・・・ヤツには今、飛ぶ力がないワケだから。放りだしたら確実に落下だよね。アスファルトにガツーン! と叩き付ける形になるわけだよね?
・・・それって・・・目覚め悪いッスよね。介錯・・・にしちゃ情けがなさ過ぎるっつーか、武士の一分が立つのかって話になるわけで・・・観てないんだけどね、「武士の一分」。
まぁ、私が武士ならばね。こう、凛々しい顔でもってね、「御免!」なんつってね、バチコーン!! とね。
地域新聞で(さっきから・・・私にとっての地域新聞って虫と戦うためのアイテムでしかないのか?!)息の根を止めてやり、そっとその死体を目の前の小学校の花壇か何かに埋めてやるんだけどさぁ。
生憎、私、武士って柄じゃないし。精々、突然、怪我人に「すまないが、しばし・・・!」と頼まれて、土間を貸してやりはするものの、『面倒はごめんだよぅ・・・すまねぇが、その水飲んだら帰ってくんねぇか』とか言っちゃう、お百姓の碁作だよぅ。人の死に様より、自分の明日の米の心配だよぅ。
とか、言ってる間に、ジーとも聞こえなくなったぞ・・・? 死んだか? ついに死んだか・・・? 見てくる。
うっひょぉぉぉお!!!! 移動してる!!! 移動してたぁぁぁ!! 死力を振り絞って・・・なのか?
隣の部屋のベランダに移動してます、彼!!!! でもって、足バタバタしてます、やっぱり。
ごめん、ちょっと気が楽になったわ。後はヨロシク、隣の人!!!
しかし、死とかさぁ・・・安らぎなような気がするときがあるけどさぁ・・・やっぱり命が尽きるときって苦しいモノなんだよねぇ。簡単に自殺とかしちゃいかんよね、うん、いかん。 |