町内会 盆踊らない 者ばかり
紀之一多
【盆踊れ】
若者よ!盆踊れ!
出店にばっかし夢中にならずに、盆踊れ!
コラおまえ、さっきっからフランクフルトばっかし喰ってんじゃネェ!ここはサービスエリアじゃねぇんだぞ!
お向かいのタカシくんを見ろよ。あんなに生き生きと盆踊りを踊ってるじゃないか。そういやタカシくんとこ、アレだって?就職決ったんだって?凄いじゃないか、さすが秀才は違うなぁ…。
なに?
タカシくんとこはバパが会社の重役だから?そのコネで内定が決っただとぅ?
あーあーあーわるぅござんしたね!父さんこんな歳なのに、未だに係長でこめんなさいね!しかも歳が歳だから、お情けで係長にしてもらったようなもんだからね!言うなれば、お情け係長だからね!会社の若い子に裏で「お情けさん」て呼ばれてるからね!
…なんだよ、やめろよ、泣くなよ。息子に泣かれるくらい悲しいことないぞ、父さんは!
そんなに泣かれたら…父さん本気で凹んじゃうだろ…。夜寝られなくなっちゃうだろ…明日も早いのに…会議のお茶当番で…。
さぁ息子よ。もう泣きやめ。コーラ買ってやるからな。む…高いな。まぁいい。ん?なんだオマエまた新たなフランクを喰ってるじゃないか!どんだけ好きなんだ、その棒に刺さったソーセージが!どれ、どんだけうまいんだ、父さんに食べさせてみなさい。え?ああはいはい、二センチだけな、分かってるよ。
むしゃり。
ん…?
うむ。
こりゃなかなかうまいな!焼きすぎといわんばかりにパリパリの表面と、一切肉汁のしたたらない中味が絶妙にマッチしとる!ん?息子よ何故泣く?
二・五センチ喰ったぁ?
細かいこと云うなよ。ほら、新しいやつ買ってやるから…な?泣くなってば…。
(「そうして息子は宇宙飛行士になった…月影星之介著」より抜粋) |