弐月 第壱週


 あと二日 これでみんな 揃って三十路

                                                守餌象

2月3日。七海明美30歳。

  鳴らないで 緊張不安の 1時間

                                                舞無舞無

月に一回、憂鬱で憂鬱で仕方のない昼休みがございます。
『電話当番』に当たった日が、それです・・・。
何をするのかと言えば、お昼休みに掛かってくる電話を取るのです・・・。
自部署の電話ではありません。大代表電話です・・・。
私だってこう見えてOL8年目です。入社当初はそれこそ意気込む余りにカミカミの受け答えで相手の失笑を買ったり、直前までワカメの話をしていたが故に「はい、ワカメ製作所です」と、謎の名乗りを上げてみたり、そりゃまぁ色々したものですが、8年も事務員をやっていれば、さすがに電話応対など、別にどうってコトないと言えばどうってことないワケです。
なので、今更『昼時に電話を取らなきゃいけないなんて、プンプン』とか言ったりしません。しませんとも、大人ですもの。
じゃあ、何がそんなに憂鬱なのかと言うと・・・。
大代表電話は・・・。
取り損ねると・・・。
総務から、「今、電話鳴ったよね!? どーして取らないわけ!?」と人が飛んでくるのです・・・。
それがスゲェ、怖いのです・・・。
そう、それは電話当番初日のこと。
よりにもよって、着信が・・・!!
えーと、総務の電話は大代表直通ですので、一番最初に鳴るんですね。
しかし、お昼時間は、電話当番でない限り総務の人は電話を取らない。
自分の目の前の電話が鳴っていても頑として取らない。
我々他部署の人間が、大代表を取るには受話器を上げて、#ボタンを押して・・・という作業が必要でして、慣れないモンだから結構わたわたしてしまい、私、その電話を取り損なっちゃったのでございます。
「うーん、失敗・・・」と反省して、受話器を置いた、その直後・・・!!!
総務から怖い顔して、人が飛んできて、私に言ったのでございます。
「ちゃんとやって下さい(怒)!!!」
・・・すいません。
咄嗟に押すのが#だったか*だったか分からなくなってしまい・・・。
いや、バカですよね、私。それは認める。申し訳なかった。
で、この際、キチンと確認しておこうと思い、
「受話器を上げて、#、の順でいいんですよ・・・ね?」
と恐る恐る訊ねてみたところ、
「そんなことは知りません。何だっていいです。ちゃんとやって下さい」
・・・うわぁ、とりつくシマなし!
・・・とろくさい私に我慢ならないんだね・・・。
すみません。。。。
そんなワケで、月一回、私は手に汗握り、お弁当を食べるどころの騒ぎでなく、電話が鳴ったら、すぐに出られるよう、常に受話器に手をかけて、緊張と不安の1時間を過ごすのです。
滅多に鳴らない・・・と言うより、鳴る日の方が少ないんだけど。
毎回、嫌で嫌で仕方ないのです。
今月分を昨日の昼に無事に終えて(鳴りませんでした、電話! ヤッタ!!)
次の電話当番は再来月の頭。
しばらくは、安らかにお昼が食べられます。
ふう、やれやれ。
・・・この電話当番を回避できるなら、もう一つの当番『お茶当番(給湯室の掃除当番)』を月2回にしてくれてもいい、と思う私です。

  せつなさを 抱えて生きる 人多数
                                                紀之一多

【生きるって大変だよね・・・】
月影 : はぁ〜・・・。
上田 : なんなんだ、この妙に虚しい空気は。
月影 : 虚しいんだよ・・・。そうさね、まるで胸毛がバッサー抜けたかのような・・・。
上田 : 胸毛ネェだろ!!ちょい悪オヤジかオマエは!!
月影 : こんなココロの空虚感を歌にしてみました。聞いて下さい・・・「片栗粉」。ジョワ〜ンン。
上田 : ジョワ〜ンンじゃネェよ!!虚しさは「片栗粉」に繋がらないぞ!!
月影 : そんなことはないよ。まず、ここに虚しさがあるだろ?で、その虚しさがまず、隣のオヤジにもらわれていくわけだ。
上田 : なんなんだよ、その「風が吹いたら桶屋が儲かる」的な話は。
月影 : つまり、それはアレかい?風をこう・・・避けるために桶を使う・・・と?
上田 : 違うよ!!なんでソコを直結させちゃうんだよ!?オマエ解ってて聞いてるだろ!?
月影 : わからないよ!!君の気持ちが解らないよ!!
上田 : 叫ぶようなことか!!
月影 : つまり人と人は生涯分かり合えない仮初めの間柄なのだと?
上田 : 聞くな!!俺は何も云ってないぞ!
月影 : でもだいじょうぶ。分かり合ってるつもりにはなれるさ。な?
上田 : イヤ、ちょっと待って。俺、別に落ち込んでないよ?人間関係に絶望なんかしてないよ?
月影 : もう何も云うな!!目を閉じて・・・これを喰え。
上田 : ムグムグ。なんだ、これ?
月影 : ホットケーキに魔女の作った薬(失敗作)をトッピングしたいわゆる危ない食べ物だ。
上田 : グハアアアアアアアアアアアアアアア!!!何故俺にそんなものををを!?失敗作ってのがますます怖い!!
月影 : うう・・・上田くん、例えアリクイになっても友達だよ・・・。
上田 : 俺、アリクイになっちゃうの!?長い舌でアリを喰うの!?
月影 : あ!だいじょうぶさ!!運が良ければ「銀座の蝶・サミコちゃん」ですむから!!
上田 : お水の女か・・・!!決して器量のよくない俺につとまるか夜の商売が・・・!!
月影 : つとまろうがつとまらなかろうが、君の居場所はそこしかない。クラブ「まっちょんみっちょん」しか・・・。
上田 : なんなんだ、その妙にイロモノ的な安い名前は!!どうせなら「パラダイス」とかで働かせてくれ!!
月影 : ・・・それは駄目。君はその器ではないから。
上田 : 真顔で云われると凹むんですが・・・。
月影 : ・・・・・先日、ゾウに踏まれまして・・・・・。
上田 : えっ!?サミコの話は!?
月影 : ・・・・・その後、キリンに舐められまして・・・・・。
上田 : つ、月影さん??
月影 : 知ってます?キリンの舌って気持ち悪いんですよ・・・伸びるし・・・。
(月影さんは動物園でキリンが嫌いになったそうです)紀之一多+月影星之介・上田柾流




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