其の拾壱『ある晴れた日に死ぬ僕の為に』の巻



 いつだったか誰かに「私は、幼少のみぎりから仕えてきた殿をお守りして、華々しく斬り死にするのが理想なのです」と言ったら、その誰かは「今は戦国時代じゃないから、それは無理だねぇ」とニッコリ笑いながらそう答えた。
 そうであった。今は間違いなく戦国時代ではないし、これから先も戦国時代になることはないだろう。おお、なんたる盲点・・・っていうか誰だよ、「幼少から仕えてきた殿」ってえのは!いねえよ、そんな奴ぁ。(自分で言ったクセにぃ。)むしろ一人っ子としてぬくぬく育ってきたのはオイラのほうである。こうしてオイラの『理想の死に方ランキング第一位・華々しく斬り死に』はあっけなくランク外へ転落したのであった。殿、すまん!
 『天国から北へ3キロ』という芝居でこんなやりとりがある。
 天使と、死を目前にした男との会話だ。

 男 「天国てのは・・・」
 天使「ハイ?」
 男 「どの辺にあるんですか?」
 天使「すぐ、そこなんですよ。3キロくらい行ったところ。」
 男 「なんだ。それじゃウチより近いじゃないですか。こりゃ楽でいいや。」

 大好きなやりとりである。思わずホロリとしてしまう。天使が言ったことが本当かどうかはわからない。本当はとてつもなく遠いのに、もうすぐ死ぬであろう男のことを思ってそう言ったのかも知れない。実は本当に3キロくらい行ったところにあるのかも知れない。どっちにしても、いいなあと思うのだ。3キロくらいだったら死ぬのも悪かないかと思う。3キロくらいだったら、置いていかれても淋しくないかなと、思うのだ。
 芝居では、天使がやってきて天国まで連れていってくれる。天使はその人のイメージする格好で現れるのだが、そうだな、オイラだったら黒いスーツ上下をビシッと着こなしたカッコイイお兄ちゃんが来てくれたら言うことないな。(こんなんばっかだな。(笑))ワイシャツもネクタイも靴も靴下も黒でね、オマケに黒い羽が生えてたら完璧だぜ!(しかし実際想像してみると胡散臭いことこの上ない衣装だ。)芝居の中では、死んだ女性がこの世に残っている恋人に未練があってなかなか天国に行こうとせずに天使を困らせていたけど、オイラの場合その天使さんと離れたくなくて困らせそうだな。

 七海「た、頼む!さ、最後に一枚だけ天使さんの写真を撮らせてくれ〜ッ!(本気)」
 天使「っていうかアンタ死んでんだから撮れるワケないでしょ!」
 七海「そこをなんとか!」
 天使「なんともならんわいッ!」

 ・・・な、何故だ!?何故オイラが関わるとコントになってしまうのだッ!?(笑)
 最近、ああ、こりゃあいいやと思った死に方がある。正確には『死に方』ではない。『死ぬときにこんな状況だったら悪くないな』と思う演出方法だ。知人諸君、是非とも頼む。オイラがもし病気かなんかでベッドの上で死にそうな時には(なんせ高齢化・医療技術の向上が進んでいる現代はその死に方が一番可能性が高い気がするのだ。)、我が愛する劇団☆新感線のCDをガンガンにかけて欲しい。しかも出来るだけ低音がゴンゴン響く盛り上がりの派手なロック調が好い。芝居を見に行ったコトのある人は御存知だろうが、芝居がいよいよもって始まるという時、客席の電気がゆっくりと消え、それと共にそれまで小さかった音楽の音量がグア〜ンと大きくなる。何も見えない暗闇の中、大音量でかけられた音楽が響いている。心臓をバクバクさせながら舞台に照明が付くのを待っている、そんな状況だ。意識が遠くなっていく中、「今から劇が始まりまっせ〜」「これから幕があがりまっせ〜」「出番でっせ〜」みたいな楽しいバクバク感があれば幸せだなあと思うのだ。終わることよりも、まやかしでもいいから始まることを感じていたい。「そうかあ、これから楽しいことが始まるんやな〜!」と感じながらフェードアウト出来たら、本当にええなあ。
 みんなを信頼して頼んでおくぞ。医者も看護婦もはっ倒したってくれ。スピーカー、良いやつじゃなくてもいい、ありったけの大音量で流してくれ。CDはオイラの部屋のどこかにある。きっとパソコンの横に積んであったり、お菓子の缶の中に並んでたりするハズだ。そうしてオイラが死んだら、お棺の中に入れなくてもいいから、今までオイラが愛した全部のモンを一緒に燃やしたってくれ。一つ残らず燃やしたってくれ。全部持っていきたいんだ。欲張りだからね。出来れば、骨はお墓に入れないで欲しいなぁ。
 ほら、オイラ、閉所恐怖症だから、さ。


(遺書めいたモンを書いてしまったけど、別に近々死ぬ予定はないんですよ。(笑)最近大変腹が立ったことがあるので記しておこう。ムンフ〜。『龍騎』のビデオがレンタル開始されたんだけどさ、なんで!?なんで同時に発売しないのっ!?レンタルじゃ嫌なのに〜ッ。自分の所有物にしたいのに〜ッ!わかりますでしょ、この気持ち!?うが〜!ワシぁ、あとどんだけ待てばエエんじゃ〜!嗚呼、私の中で『龍騎』が旬のウチに是非!是非ビデオ発売して〜・・・くれ〜・・・・。)

A Theatrical Campany yakoudou