其の拾六『ホロリと泣けるお父さんの条件』の巻



 毎回必ずホロリと泣いてしまうドラマがある。
 『天才柳沢教授の生活』である。
 自分のペースを崩さずに毎日を生活している柳沢良則教授とその周りに生きる人たちの一日を描いたこの作品、「どこで泣く場所があるんだ?七海よ」とツッコむ方も多いと思われる。そう、本日は「わたくしは何故、『天才柳沢教授の生活』を見て泣くのか」について研究しよう。
 原作を知っている方はそれとは切り離して、あくまでもドラマ版の話と思って考えていただきたい。何故なら、「わたくしが『天才柳沢教授の生活』を見て泣く」原因が、主人公柳沢良則教授を演じる松本幸四郎氏の演技によるものだと思われるからだ。
 (・・・う〜む。柳沢教授風に話を進めてみようと思ったのだが、どうも堅ッ苦しくていけねえや。よし。素に戻るとするか。)
 とまあ、つまり、オイラは松本幸四郎氏演じる柳沢教授を見ると何故かホロホロと泣けてしまうというワケなのだ。とはいえ、「松本幸四郎氏演じる柳沢教授」だったらなんでも泣けるというワケではない。
 嬉しそうに顔をほころばせる、そんな時だ。思わずホロリとしてしまうのは。
 デパートの屋上で遊ぶ娘達を見つめる嬉しそうな顔。長年連れ添ったお母さんにむける愛情に満ちた顔。教授を騙して本を持ち去った泥棒が、その本を大切に読んでいると聞いた時思わずほころんだその顔がオイラをホロリとさせるのだ。
 目尻がすう・・・っと緩んで、しわがうっすらと浮き上がる。
 薄い唇が優しいカーブを描き出す。
 目が、優しく笑う。
 顔全体に「ああ、満足だな」とか「ああ、幸せだな」とか「ああ、この人を本当に愛してるな」とかいうストレートな気持ちが綺麗に浮き上がってくる。一点の曇りも迷いもない真っ青な空、優しい夕焼けの光、そんなオーラ。
 その絶品な表情にオイラは涙腺をギュウギュウと押されてしまうのだ。
 オイラは「やわらかい雰囲気を持ったお父さん」にとても弱い。それと言うのもきっと、ウチの親父殿がそれとは正反対の「お父さん」だからなのだろう。とにかくウチの親父殿は怖い。何が怖いって顔が怖い。京極夏彦著「京極堂シリーズ」を実写でドラマ化するなら、是非ウチの父を木場シュウ役で使ってやって欲しい。なんせ顔が四角い。目も細いし、滅多なことでは笑わない。すぐにカッとなる性格で、怒り始めたら烈火の如し。怒りすぎて熱を出したこともある、いや、マジで。自分の考えを曲げようとしない昔気質だもんで、オイラのようなチャランポランな娘とは昔っから盛り上がらない。決して嫌いなんじゃあないんだけど、オイラはウチのオヤジ殿がかなり苦手だ。(ハハの情報によると、最近は歳のせいか少し丸くなってきたようだ。)
 そういやあ「焼き鳥のタレと塩を一緒の皿に置くか否か」で大喧嘩したこともあったっけ。(笑)
 親父殿と尖った点で接してきたオイラにとって、やわらかい線で接することの出来る雰囲気を持ったお父さんはまさに涙モノなのだ。一点の曇りもない慈愛に満ちた深い微笑みってえのは、ジンワリと優しくココロに滲み入る。
 むかし書いた台本の台詞にこんなのがある。

 「紫織さん、俺はね、もし三日くんが本当にやりたいことを見つけたならば、世界中の誰がそれを馬鹿みたいなことだって笑っても、三日くんの大切だと思う世界を守ってあげて、背中を押してあげようと思うんだ。親にはね、子どもが自分の信じられる生き方を見つけたら一番最初に「頑張れ」って言ってあげる権利と義務がきっとあるんだよ。子どもはいつだってそれを望んでるんだからね。わかったように言うのねって?そうだね。僕が子どもの頃、確かにそう、思ってたから」

 んなワケねえなって今は思う。そんな綺麗なことばっかりで進むわきゃあない。だいたい子どもが「誰からも怖れられる殺人鬼になりた〜い!」なんてニコニコしながら言い出したらどうするつもりなんだ。(笑)なんとしてでも止めなきゃならんだろう。それでも、やっぱりこの考え方は今でも大変気に入っている。綺麗で、迷いがなくて、どこまでも優しくて、やわらかいやわらかい、お日様に当てた毛布のような愛情。真っ白で純粋な、透けた日光のような眼差し。静かに照らす月の光のような慈愛の微笑み。そんな綺麗事で固められた世界が好きだ。「現実にんなこたぁねえな」と思いつつも、そういうモノにオイラは惹かれるのだ。

 ある日、柳沢教授の家に夫が死んだことにショックを受けて呆けてしまったご婦人がやってくる。名を要(かなめ)というその人は、自分をまだ18歳のお嬢様だと思いこんでしまっているのだ。要はかつて柳沢教授が家庭教師をしていた家の娘で、結婚が決まっていながらも実は密かに柳沢教授のことを想っていた。呆けてしまった要は、柳沢家を我が屋敷と思い込み、そこで柳沢教授と再会する。要は結婚する前に一度だけ柳沢教授と踊りたいと願う。かくして柳沢家でダンスパーティーが行われるのだ。要が帰った後、おやすみの挨拶に来た教授に妻はこう聞く。
 「もし、私が呆けても、一緒に踊ってくれます?」
 すると教授はニッコリ笑って、こんなふうに答えるのだ。
 「・・・喜んで」

 そう、こんな愛情に満ちた優しい一場面が、『天才柳沢教授の生活』を見て、オイラがホロホロと涙をこぼす理由なのだ。
 ああ、ええシーンや・・・。(涙)


(原作の『天才柳沢教授の生活』にはよく若い頃の教授が出てくるので、ドラマでやるなら是非染さん(幸四郎さんの息子・市川染五郎)にやってもらいてえなあと思っていたら、その後に放送している『ワンナイ』で本当に染さんが幸四郎さんの教授をパロっていたので、涙が出るほど爆笑したぜ!「車、車、車、車三つで(カッ!)轟です」とその後どうなってしまったのか、大変気になるところではあります。(笑)さ、でもって恒例の『龍騎』タイムっす!友達に「クリスマスに何が欲しい?」と聞かれたので、「DX龍召機甲ドラグバイザーツバイ(6000円)!なんなら普通のドラグバイザー(4500円)でもいい!それでも駄目なら「牙召杖ベノバイザー(2980円)」で手を打ってやらあ!」と言ったところ、「オマエは何語を喋ってるんだ?」と突っ込まれる。「アホー!『龍騎』を見ておけ、このスカポンタンがぁ〜!」と言っておいたので、きっと見てるでしょう。サンタさん、僕に「変身ベルトVバックル」か「R&M2仮面ライダーナイト」か「R&M5仮面ライダーナイトサバイブ」を下さい・・・ってサンタなんかいねえよチクショイ!)

A Theatrical Campany yakoudou