其の弐拾参『俺とペットたちの戦いの歴史』の巻



 プルプルの年になりました。(『動物○お医者さん』より)
 まま、羊記念ということで今回は動物のお話をしましょう。
 僕のハハは大変な動物嫌いで、庭に猫がやってきただけでも「くおラッ!」と叫んで追いかけるような性質の持ち主なのだが、なんと可憐な少女時代には猫と一緒に寝ていたのだと言う。
 「それって本当は猫好きなんじゃないの?」
 と、聞けば
 「アレは猫が勝手にお母さんの布団に入ってきていただけなの」
 と抜かす。
 「だって猫飼ってたんでしょ?」
 と、さらにツッコめば、
 「・・・・どこの猫だったのかしら〜?」
 とボケる。
 わからない。我がハハながらわからないことが多すぎる。しかしハハの実家(今は他に家を建てたのでもうない)は大変古く、物置にはコウモリが住んでいたというから、そのどこぞのものかもわからない猫もやはり飼い猫ではなく、やっぱりどこぞのものかもわからない猫だったのやもしれぬ。ハハがこんな風であったし、親父殿が転勤族であった為に、僕はほとんど動物という動物に触れ合ったことのない子どもであった。仲良しだったのは、会津若松に住んでいた時にパンの耳をくれてやっていた鶴賀城のお堀の鴨ぐらいだろう。そんなワケで、自分が猫アレルギー(猫に近づくとクシャミが出て、目が痒くなる)であると気が付いたのは実に大学に入ってからであった。遅ッ!!(笑)
 こんな僕でも、小学生の頃には飼育委員なんかをやっていて、夏休み中にも出校して鳥小屋の掃除なんかをしていた時期もあった。実は、七海鳥が苦手である。普段あんなに偉そうなのに、鳥や蛾を見ると「ヒィ!(中腰)」になってしまう。浅草や上野なんかは、僕が最も怖れるスポットなのだ。それというのも、この飼育委員時代のウズラとの格闘と、もう一つ社宅のアパートで誰かが飼っていたクウちゃんという鳩との追いかけっこが、僕のココロに暗い影を落としていたからなのであった・・・。

 『七海の辛い思い出・ウズラと格闘篇』
 その飼育小屋には文鳥やジュウシマツなど色々な鳥たちがいたワケだが、なんといっても我が敵はウズラであった。そう、あの中華丼なんかの上に乗ってるちっちゃ〜い卵の生産主である。奴らはコロコロとしていて茶色く、主に地上を縄張りとしている。ウズラは素早い。その地面を走る様はさながら「テッテケテッテッテ〜」という効果音をつけても引けはとるまい。飼育員はそのウズラを移動させながら、ホウキで地面をはいていくワケだが、勿論のことながらウズラはいい顔をしない。気持ちよく居間で寝転がってTVを見ていたら、一番イイトコロで「ちょっと〜掃除機かけるからどいてちょうだい」と言われた日曜日の親父くらいご機嫌ナナメだ。
 ウズラは襲いかかる!
 なんの前触れもなく、僕の足にキックをかます!これが結構痛いのだ。ムカついた僕はすかさずホウキでウズラをチョップ!(虐待ではありません。コレは正当な喧嘩です!)ウズラ、後ずさった。フフフ、いかなウズラといえど人間様には適うまい!僕が勝利を確信した時だった・・・・ウズラは華麗なる足さばきで走りこんできたかと思うと、飛び上がって僕の腹にキックをかましたのだ!!
 グハア、ウズラ・・・・オマエ、飛べたんだな・・・ウズラよ・・・・!
 僕はウズラとの戦いに敗れた。苦い思い出である。

 『七海の辛い思い出その2・鳩との鬼ごっこ篇』
 僕の住んでいたアパートにはクウという鳩がいた。ある日友達と学校から帰ってくると、クウがアパートの前で我々を待ち伏せていた。少しドキドキしつつも、旋回してやりすごす。しかし一階と二階の踊り場にさしかかった時、我々は恐怖におののいたである!そう、先ほどまで入り口でクルックーとか言っていたヤツが、踊り場の手摺りに止まっていたのだ!!
 しまったあ、父さん・・・鳩は・・・鳩は翼があるワケで・・・自由自在に飛べるワケで・・・。(動揺)
 しかもクウは我々に向かってブワサブワサと羽を広げながら襲いかかってくるのだ!それで我々はすっかりパニックに陥ってしまった。七海家のある2階を走り過ぎ、一気に最上階である4階に追い詰められてしまったのだ!おお、我々の運命やいかに!
 4階にある○○くんのウチのインターホンを鳴らし、助けを求める情けない我々。しかしその家は運悪く留守だったのだ・・・。こうなったら戦うしかない!我々は靴をはじめ、フデバコなどあらんかぎりのモノをクウに投げつけた。(コレは動物虐待ではありません。正当防衛です!)ヒラリヒラリとよけるクウ。身軽な鳩・クウ。我々は投げるものも失い、靴下のまま冷たい地べたを感じながらこの世の終わりを感じていた・・・。
 その後、当然のことながら我々は無事救助されたのであるが、どうやって誰に助けられたのかもまったく覚えていない。相当の恐怖を味わっていたのだろう。これ以来、僕は鳩が駄目になったのだ・・・・。

 そんなワケで僕は鳥が嫌いになった。ひとり暮らしをはじめてから、絶対何か飼いたいと思っていた僕だが、当然のこと鳥類は除外されている。実は「ペット禁止!」の契約のもと、僕がコッソリ飼うことにしたのは、齧歯類ハムスター(2匹)だった。
 ジャンガリアンとゴールデンでどっちもオスだ。名前は「バカ」と「オロカ」。たぶんその時に榎木津(京極堂シリーズ)にハマッテいたんじゃないかと思う。(笑)ジャンガリアンのほうは僕が一目惚れして買ったヤツで、ふさふさの灰色毛とクリクリの黒い瞳が印象的だった。手のひらでクルクル回る姿が可愛くて、散歩の時間にはよく手の上にのっけて遊んでいたっけ。
 ゴールデンのほうはかなりデカクなっていたものを安く(なんと500円!だ)買ったヤツで、せめて余生をウチで暮らせよジジイ!という気持ちで世話をしていた。そのデカサのハンパじゃないこと、なんせ軽く22センチはある!友達はコイツのことを生涯「足の裏」と呼び続けた。う〜んナイスネーミングだ。確かにヤツは足の裏にそっくりなカタチをしていた。さもなくばナンだ!インドカレー屋さんなんかで出てくる平べったいナンのカタチにそっくりだ!
 バカもオロカも今はもういない。空のケージの中で回す者のない回し車が、時折カラカラと音をたてる。今欲しいのはなんといっても犬だが、コイツばっかしはコッソリ飼うのは無理だろう。冬を越したら、またハムスターでも見に行こうか。きっとまた、灰色の美人さんが見つかるだろう。
 今度はもうちっと、良い名前をつけてやろうかな。


(ハムスターの欠点はなんせジッとしていないことだ。特にバカとオロカは共に触られるのがあんまり好きじゃなかったらしく、餌をもらっている手前少しは我慢するのだが、その後唐突に手のひらから脱走するのだった。やたらと触りたがりの二階堂の弟妹のような僕には、ちょっと向かない生き物なのかもしれない。今ハムスター飼ったら間違いなく名前は「真司」と「蓮」だな!)

A Theatrical Campany yakoudou