其の四拾七『七海の夏、日本の夏』の巻



 あ、暑い。
 秋山にハマってからというもの、身につけるものは黒と決めているお馬鹿な僕だが、こうも日光が燦々とこの身に降り注いだ日にゃあ、この全身黒ずくめの衣装も恨めしく思えるというものだ。真夏の仮面ライダーナイトは辛い。
 夏に喰いたくなるものといえば、『カレー・素麺・ローストビーフ』の三種類だ。
 冷たいローストビーフに、西洋ワサビを塗り込めて、甘辛いタレで食する幸せ・・・。冷たいお肉を口に放り込めば、まさにそこは日本の夏。頭の中にドウウ〜ンと花火があがっては次々に消えていく。
 そこですかさずキンキンに冷やした炭酸飲料を一口。
 ドカ〜ン!(花火)
 「オマエら、今日は無礼講だ!好きに踊ってエエんやで〜!」
 頭の中の盆踊り会場でそう叫ぶ僕・・・。人々の歓声・・・。
 今、僕のココロは口の中の幸せにより、雨の後の水たまりよりも深く、子どもがこしらえた砂場の山よりも高くなっている・・・!(ココロ狭ッ!!)
 嗚呼、幸せはこんなトコにある。
 夏になると人魂女がやってくる。
 何を隠そうこの僕である。
 人々がパチパチと色とりどりの手持ち花火を楽しむ中、僕は黙々とハリガネで吊られた白い綿に謎の液体を染み込ませている。
 さあ、緑色の液体をたっぷりと染み込ませた綿に火を点けると・・・。
 ポウワ・・・ン。ポウワ・・・ン。ポウワ・・・ン。
 日本の夏を彩る美しき緑の人魂がこうして完成する・・・!!
「フギャアアアアアアアアア〜〜〜!!」
 軽く揺らしながら木々の間から現れれば、人々の阿鼻叫喚を浴びることは間違いナシであろう。その際に、ニヤリと妖しく笑うことをくれぐれも忘れてはならない。お盆の迎え火、送り火に灯せば、またさらになんとも言えぬ感慨を得ることが出来るだろう。
 ゆらゆらと揺れる緑の人魂は、人のココロをささくれさせるが、僕のココロを癒やしてくれる・・・。(この人魂セットはコンビニなどの花火コーナーでもれなく売っている。売っているからには誰かは買っているのだろうが、僕は僕の他にこの人魂セットを楽しんで買っている人を見たことがない・・・。)
 僕の家の近くにある小さな神社でも夏祭りをやっている。
 お面、綿菓子、風船、射的、くじ引き、あんず飴、りんご飴、焼きそば、お好み焼き、フランクフルト・・・。色とりどりの灯りに照らされた夜店の鮮やかなことといったら、この日の神社ある意味ディズニーランドよりも勝っている!勝っているぞ、八○神社!
 いつもは何もない場所にささやかなステージが設けられており、その上ではここらへんに住んでいるであろう若者たちが、太鼓を叩きながら舞い踊ったりしているのだが・・・スマン若者たちよ!見てネエよ!!だって夜店が大事なんだもの!!
 このなんともいえん安っぽいソースのかほりにココロ惹かれる年頃なんだものッ!!
 だが君たちの太鼓は間違いなく神社内のボルテージを上げているぜ。
 「おっちゃん、フランクフルト1本くれぃ」
 と言えば、
 「しょうがネエなあ、2本オマケだよ」
 と有無を言わせず3本渡される・・・。
 どうせえっちゅうね〜〜〜〜〜〜〜ん!!
 僕しか食う人間がおらんのじゃ〜〜〜〜い!!
 仮にも商売人ならば、オマケしてたらアカンのちゃうんか〜〜〜〜〜いっ!!(爆)
 微笑ましい夜店でのヒトコマである。
 この前どうしょうもなく飲みたくなり、ラムネを購入した。
 ガラガラと大きな氷の入った水槽の中からオバチャンが取り出しくれたラムネは、ヒンヤリと冷えていて、薄緑色したガラス容器の冷たい感触が気持ちいい。
 お店に置いてある「ラムネキュポン!」を飲み口に突っ込んで、手のひらで勢い良く押す!
 「キュポン!!シュワワワワワワ〜〜〜〜」
 泡をともなったラムネがシュワシュワと溢れてくる。
 あわあわ言いながら急いで口を寄せて啜るが、もう既に地面にはラムネのこさえた小さな水たまりが出来ている。
 減ってもいいんだ!それが醍醐味じゃないか!
 自分に言い聞かせて、ラムネを口にする。
 シュワっと口の中で弾ける泡と、なんともいえない安っぽい甘さがお口に広がる。
 決してうまいワケではない。
 なのに、何故か人は一夏に一本ラムネをキュポン!とさせてしまう。
 「俺この前ラムネ飲んじゃったよ」
 その一言を聞いて、ちょっとうらやましいなと思えたら・・・日本人として夏を満喫していると言えよう。
 うまいかマズイかは別として、だが。

(最近の僕は木曜日に大粒の涙を流している。コトー先生、僕は応援しまっせ!)

A Theatrical Campany yakoudou