其の五拾『世の中の不思議な風景を垣間見た』の巻



 ル、ルパン!!
 『ルパン三世』だっ!!
 『趣味の小部屋』其の壱で堂々とめくるめくルパンへの愛をしたためた僕であるが、こうして記念すべき五拾回目に再び『ルパン』に出会えるなんて・・・。イッツミラク〜ル!コイツぁ夏から縁起がイイわい。
 屋根の上のスナイパーこと、ブラッディオレンジ七海です。(なんのこっちゃい)
 『趣味の小部屋』も五拾回を迎え、金曜日であるにもかかわらず会社のロッカーにうっかりカレーパンを置いてきてしまったことに気付いた僕は、人知れず部屋の隅でさめざめと涙を流すのでありました。(ああ、月曜日一体どうなっておるのだ、カレーパン様)
 日常の中でふと、不思議な風景に出会うことがある。
 例えば、夜中に歩いた街中で、真っ赤なTシャツを着た青年が道路に倒れ込んでいる。コンクリートに顔を埋め込むようにうつ伏せに寝転がっているので顔は見えない。何故か右手に食糧の入ったビニール袋をきっちり握っている。
 身につけているものはどれもこれも洗濯したてのようにキレイだし、路上を住処となさっている人ではないことは見て取れた、が、何故こんなところでたった一人、倒れているのだろう。
 @夜中コンビニに行ってみたが、帰り際に突然具合が悪くなって倒れた。
 Aコンクリートフェチ。気に入ったコンクリを見つけると、全身を使ってそのコンクリ具合を確かめなければ気が済まないタイプだ。
 B実はドッキリで、僕は密かにモニターされている。
 C罰ゲームだ。
 D片平なぎさと船越栄一郎を捉えるための罠の囮だ。
 Eただの淋しがり屋さん。誰かに助け起こされるのを待ち続けて1時間経つ。
 F親が離婚することに反対した息子の行動。
 G実は見えない糸でコビトにグルグル巻きにされている。
 H金縛り中。
 やはり個人的にはH番を押したいところだが、それを確かめる間もなく、友達らしき人々がやってきて、彼の頭と足をムンズと掴み連れ去ってしまった。どこからともなく現れて、どこへともない闇の中に彼を連れ去る友達の姿は、あたかも、映画『ゴースト』のごとき不気味さをかもし出していた。
 しかも彼らが『友達』なのかどうか、それも定かではない・・・。
 夏の夜の不思議な出来事である。
 君は人が消える様を見たことがあるか?
 僕はある。
 あれは台風の過ぎ去った次の日のことであった。大雨の影響で、あちこちの川が溢れかえり、子どもであった僕たちのモモまで水が溜まったことがあった。道路も灰色に濁った泥水で溢れかえり、もうどこまでが左車線でどこからが右車線なのか解らぬ始末。
 人々は皆、日頃の感覚を頼りに、ただ自分の勘のみを信じて、目に見えぬ道を歩き進んでいた。
 ふと、僕の目の端に一人のオバチャンが映った。
 足のフクラハギで必死に水を押しながら、うんしょうんしょと進んでいる。見たこともないオバチャンではあるが、目が合えば思わず「お互い大変ですナァ」と微笑んでしまう。災害は人が仲良くなる小さなキッカケを与えてくれるのかも知れない。
 さて、僕も頑張って進まねばなと思ったその瞬間。
 オバチャンの・・・・一瞬前まで確かにそこにいたオバチャンの姿が消えたのだ。
 オバチャンが消える前に耳に響いた「たぷん!」という音・・・。
 「・・・・・・がふっ、がふっ!」
 オバチャンはドブに落ちていた。
 しかも丸ごと落ちていた。
 ドブとはいうものの、深さはゆうに1M以上ある大きくて広いドブだ。
 水に視界を邪魔されて、オバチャンはドブとの境目を誤ったのだ。どこのものと知れぬ子どもに笑顔を送ったその一瞬後、オバチャンは足を踏み外し、「たぷん!」と丸ごとドブに浸かることとなったのだ。
 それはまるで引田天功も顔負けのマジックのようだった、と後に子どもは語った。
 頭まですっかり水の中に埋もれてしまったオバチャンは、その後、すぐに自らの力ではい上がり何事もなかったかのように去っていった。
 が、しかし、僕は生涯忘れない。
 目の前で一瞬にしてスピルバーグの映画のように消え失せたあのリアルな映像を、微笑んだまま水の中に消えていったシンクロ選手のようなアナタの顔を、その命がけの爆笑映像を・・・忘れはしないだろう・・・。
 やはり大雨の日の出来事だ。
 ウチの目の前にある小さな川が氾濫し、フクラハギの半分ほどまで水が溢れたことがあった。それを想定してか、家は土台を高めにとっており問題なかったのだが、低いところにある駐車スペースは子ども用のプール並みに水が溜まっていた。
 ブロロロロロ・・・・。
 オヤジ殿が車で会社から帰ってきた。
 「うわ〜ん、怖かったよう」と出迎えるハハと娘。
 ココロ温まる家族の肖像・・・。
 しかしそこで我々は気付いた。
 「あ。お父さん車から降りれないや!」
 ブロロロロロ・・・・。
 父は会社へと帰って行った・・・。


(吉田くんが変身ベルトとバックルをくれました。毎日変身の練習を積み重ね、いつか吉田家の門前で変身してみせるのが、今の僕の目標です。)

A Theatrical Campany yakoudou