其の六拾弐『この世の小さな美味きものたち』の巻 |
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木更津〜キャッツ・ニャー!キャッツ・ニャー!キャッツ・ニャー!!! 深夜にかの名作『木更津キャッツ・アイ』が放映されている。 その結果がコレだ。 ぶっさんのかけ声と共に深夜2時に叫べ!! 「ニャー!!」 愉しい。何故、深夜に「ニャー」と叫ぶことがこんなに愉しいのだろうか。しかし僕もいくらなんでも独りで叫んだりはしない。ちゃんとぶっさん始め木更津キャッツ・アイのメンバーと共に叫んでいるのだ。うむ、にわか木更津キャッツ・アイ。行ったことないのに木更津。「ヴィトンはまだ木更津には来てネエなあ」は永遠の名言であります。 映画、見に行くぜ、ニャー!! 僕はこうして頭のおかしな毎日を暮らしています。 漬け物はもともととても好きなのだが、最近、隙あらばぽりぽりとやっているのは、黄色いアンチクショウこと沢庵様である。うまい。うまいぜ、沢庵様。このままでは確実に塩分過多で腎臓を悪くするに違いない。 「蛸ワサビはうまいんだぞ」と云えば、「蛸ワサビってなあに?」とハハは聞く。 アルコオルに縁のない僕のハハは、全国の飲み屋さんのお通しで大評判の蛸わさびを知らないのだ。コイツは何故か某コンビニに常駐しており、練習帰りの僕はそれをほくほくと購入し、家でテレビなんか見ながら隙あらばコリコリと奥歯で蛸を噛みしめている。うまい。うまいぞ蛸わさび。このままでは確実に成人病でポックリ死ぬに違いない。 どんなサラダにもフレンチドレッシングを忘れない。 一時期僕の中に「ぽん酢」ブームが巻き起こり、なんにでも(っていうかカレーにも)ポン酢をぶっかけていた時期があったが、そのブームも一ヶ月と持つこともなく過ぎ去り、今となっては「あれ?アムラーって何だっけ?」ぐらいの調味料と成り果てている。 しかしポン酢よ、君はなかなかに立派だった。 脂っこい唐揚げをスカッと気持ちいい和風に変えてしまうあの強引さ。手についた滴をぺろりと舐めれば、舌にぴりりと酢っぱ塩っぱいあの刺激。うう〜ん、魅惑の調味料「ポン酢」よ。君のことは忘れない。再びブームが巻き起こるその日まで、冷蔵庫の奥でひっそりと待っていておくれ。 賞味期限が切れないことを祈る。 そんなワケでフレンチドレッシングだ。 君よ。真っ白な君よ。ほんのりと甘く、口に入れればぽわっと広がる酸味の君よ。 例え相手がワカメ海草であったとしても、僕はフレンチドレッシングを回しかける。僕はあくまで野菜が好きなのではなく、ドレッシングが好きなのだ。ドレッシングにたまたま一番合う素材が野菜だったに過ぎない。いくら僕でも、腰に手を当ててゴッキュゴッキュとドレッシングを直飲みすることは出来ない。そんなことをしたらアッという間に高血圧だ。みずみずしい野菜に真っ白なドレッシングをたっぷりかけ、シャクシャクと食する。それこそが最もドレッシングを美味しく食べる方法なのだ。(当たり前だ) しかしなんせ醤油である。 僕の家では、醤油そのものよりも味がやわらかくてマイルドな「だし醤油」を使用している。だし醤油はうまい。醤油のように刺すような口当たりではなく、あくまで優しい丸い味を僕らに提供してくれるのだ。 目玉焼きは勿論だし醤油。 たとえ白味にチーズやハムが混ざっていても、黄味はだし醤油で食する。半熟が嫌いな僕はキッチリ完熟。カッチンコッチン。続けて十個も放り込めば、確実に人を殺すことが出来るくらい黄味がみっしり詰まっている。 そういえば、かつてかの名作『ルパン三世〜カリオストロの城〜』にて、カリオストロ伯爵が卵立ての上に卵を置き、上の白味部分をくり貫いてスプーンで黄味だけを掬って喰っていたが、アレは果たしてウマイものなのだろうか。 きっと中はほくほくと温かいドロドロ黄味に違いない。 二、三口啜っただけでスプーンを置き、口をナプキンで拭う伯爵。 さすが伯爵。顔のわりに大変上品である。(しかし真に上品な人は、嫌がる花嫁を無理矢理連れ戻したり、塔のてっぺんに監禁したりはしないのである。) しかし焼きオニギリは味噌であろう。 うまい。うまいのだ、焼き鬼斬り(それはロロノア・ゾロである)。 丸い飯の塊に、たっぷりと塗った味噌。そいつを網に転がせば、いつしかぷ〜んと漂う味噌の香り。表面が焦げないようにコロコロ転がすのは、いつも暇な子どもの役割であった。時折調子に乗りすぎて、網からゴロンと落ちることもあるが、そんな時は拾い上げたオニギリの表面をふうふう吹いて、そのまま網に乗せるのさ。それを僕以外の人間のお皿に入れたからと云って、それがどんな罪になろう。(充分罪だが) かりこりと表面が少し固くなるくらいに焼けば、おいしい焼きオニギリの出来上がりだ。 かりっとした味噌の層を歯で突き破れば、中からむわああああっと広がってくる柔らかいササニシキ。そしてさらにその中から紀州梅がお口に突入。甘い味噌と、温かい米、酸っぱい梅干しのコラボレーションと来たら、もうキ○ムの比ではない。 寿司屋の出前につきてきたインスタントお吸い物をズズっと啜れば、いや、こりゃあ極楽じゃわい。(極楽見たことないけど) おお、この世の小さき幸せたちよ。 それはふと真夜中に見つけた梅しばの小袋のように。 冷凍庫の奥底に入れたきり忘れていたアイスのように。 お守りの中に入っていた千円札のように。 じんわりと僕らを幸せにしてくれる。 ひゃっほーと飛び上がるにはあまりに小さいが、それでもなおかつひゃっほーと飛び上がらずにはいられない、小さな小さな美味きものたち。 僕に小さな幸せを。 木更津〜キャッツ・ニャー!キャッツ・ニャー!キャッツ・ニャー!!! 註:木更津キャッツ・アイは特に関係ない。 (更に註:今時「ひゃっほー」と喜ぶ若者はいない。) |