其之七拾酸『怪怪怪A』の巻 |
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怪A七海家の誕生日に纏わる怪。 睦月。 そこには何がある。 そう、七海家ハハの誕生日がそこに確かに存在する。 朝起き抜けに「おめでとう」と一言声をかければ、 「誕生日なんて歳をとるだけでぜんぜんお目出度くなんかないのよぉ〜」 とお玉を振る。 そうであったか。 本人が「目出度くない」と云うのなら仕方あるまいて。このままひっそり道ばたに倒れるお爺ちゃんに出会った時のように、見て見ぬフリをしようじゃないか。(註:良い子のみんなは道ばたにお爺ちゃんが倒れていたらすかさず救助しましょう。) そう僕が心の中で頷いたその時だった。 ハハ:「じゃあ、アレね、ケーキを買わなきゃね!」 い!!祝われる気マンマーーーーーーーーーン!! 歳をとるのは嬉しくない、しかし誕生日は祝って欲しい・・・複雑怪奇なり女心。 ならばこの七海、全力をそそいで誕生日を祝おうではないか!だてに『誕生日奉行』と呼ばれてはいぬわ!!誰にも呼ばれてはいぬわ!! 早速街にケーキを買いに行く。 元来、洋菓子の苦手な七海家である。まんまるいケーキは必要ない。カットケーキでそれぞれが好きなものを選ぶがいいさ。洋菓子の甘さが苦手な父とハハは、ほんのり酸っぱいレアチーズケーキを。スポンジが駄目なことで有名なわたくしは、渋皮栗のタルトを。お姉さん、持ち帰りに少し時間がかかるので『つめた〜いの』を入れてくれたまえ。 こうして準備は整った。 ハハの乙女心を慮って、あえて歳の数の蝋燭は立てぬこととする。 僕は小さなお年玉袋に心ばかりのお金を入れて、「これで好きなものをお買い・・・」と握らせてあげる準備をする。 現在時刻午後三時。 夕食が出来上がったら、フッと電気を暗くして、大きな蝋燭を一本灯そう。 ぎこちない指使いではあるが、幼少ピアノを習っていたことのあるわたくしが誕生日オメデトウの曲を弾こうじゃないか。 そして曲が終わったら、フッと蝋燭を吹き消してもらうのだ。 「ハッピ〜バ〜スデ〜おか〜さ〜ん!!」(暗がり) 電気をつければ、家族の笑顔・・・!! テーブルの上に夕食と共に並べられた可愛らしいケーキ・・・・!! う〜む、これぞ絵に描いたような誕生日の風景!! かのマイク・デイビスもビックリの幸せ家族の出来上がりじゃないか。 よし、それで行こう・・・!! 名付けて「誕生日を祝ってウンフフフ〜〜ン」大作戦だ。 僕がニヤリと微笑んだ、まさにその時であった。 時計をちらっと見たハハが、さらりとこう云ったのだ。 ハハ:「あら。ちょうど三時ね。じゃあ、ケーキ食べましょう」 ぬ。 ぬああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! な、何故!? 何故に誕生日ケーキを今、このおやつに喰ってしまうのかーーーー!! 誕生日ケーキは夜に出てくるもんじゃろがーーーーーーいいい!!(偏見) ハハ:「だってお母さん、夜は甘いモノ食べないんだもん」 だもん。 だもん、か。 はははははは・・・・ふわ〜ははははははっははははは〜い! 僕の「誕生日を祝ってウンフフフ〜〜ン」大作戦はこうして脆くも崩れ去ったのだった。 七海家の怪。 それは『誕生日ケーキをオヤツに喰べてしまう』という不思議現象・・・。 お煎餅とお茶の真ん中にちょこんと置かれた「誕生日ケーキ」。 手拍子をとりながら喉の調子よくハッピーバースディの歌を自ら歌うハハの姿を見ながら、「本人が楽しそうならば何も云うまい」と手拍子する僕。 こうしてまたわたくしが『誕生日奉行』と呼ばれる日が遠ざかったのであった。 無念・・・! 次週『怪怪怪B』に続く。 (オマケの怪事。 友人S木:「七海はアレ?後ろ足伸ばしてんの?」 七海 :「・・・・・は?」 友人S木:「あ!!違う!!後ろ髪、か、襟足って云おうと思ったんだって!!」 七海 :「勝手に略すなーーーーーー!!」(カカト) 友人S木:「グアハウ!!」 そうか、僕は後ろ足を伸ばそうとしていたのか・・・。知らなかった。 この話は仙台のごく一部の人々に爆笑を伴って語り継がれたと云う・・・・。) |