其之九拾休『脳味噌グツグツ意味ナシ一夜〜前世篇〜』の巻



 カウント99である!
 な、長かったなあっ!!
 星野鉄郎は機械の体になる為に銀河へ旅立ち、そして未だ21世紀初頭をウロウロしている僕は妖怪を探して日本の山野を駆け巡る・・・。
 ある時は、山の中の焚き火をはさんでサトリに頭の中を覗かれながら、そしてまたある時には船幽霊に渡す柄杓の底を木槌で抜き抜き、書き溜めた甲斐があったと云うものだ。(そうだったのか・・・。)
 ここはひとつ、ジンジャエール片手に前夜祭としゃれ込みたいものだが、そんなもんは僕以外の人間にはなんら目出度いことでもなく、日々はゆるゆるといつものように過ぎていくのだから、僕だけが浮かれているのもなんだか阿呆のようだ。
 しかしながら、同じ阿呆ならば踊らにゃ損であるらしいので、とりあえず手近にあったシジミの味噌汁を片手に踊っておくこととする。
 ア♪それそれそれそ・・・・・グワハァ!!ね、熱湯ゥ!!
 (良識ある諸氏は、よもや極熱の味噌汁を片手に踊ったりはすまいね?)
 余談であるが、僕の友達は前世占いにおいて、真顔の占い師に
 「あなたは・・・・・イナゴね?」
 と問われたことがあるのだそうだが、
 「イナゴね?」
 と、問われた現・人間は一体どうすれば良かったのだろう。

 @「ひゃっほう!イナゴだ、イナゴだァ!!栄養価満点だぜィ!!」と素直に喜ぶ。
 A「ええ。そうなんですよ。お父さんは、吾作さんとこのオジイに佃煮にされて喰われ  たんです」とイナゴ時代の辛く哀しい思い出を吐露する。
 B「そうそうそうそう。ピョンピョコピョ〜ン、田んぼ大好き〜!!・・・ってウオオオ   〜イイイ!!!」ともの凄いノリツッコミで乗り切る。
 D占い返しを行い、占い師の前世を「マンゴスチン」と断定して占い師を凹ます。
 E血なまぐさい手段で仕返しする。
 Fとりあえず「リコピンをたくさん摂ろう・・・」と思う。

 人は弱い生き物だ。
 こんなにも多くの選択肢があるにも関わらず、彼はどれも選ばす、ただただ凹んだ。
 そしてしばらくは「いや、だってオレほらさ、イナゴ?だから・・・」と事ある事に自嘲気味に微笑む日々が続いたのだ。
 哀しいな、イナゴの男。
 しかし元気を出せ。
 今現在は人であることに変わりはないのだから。
 イナゴの男よ・・・!大志を抱け・・・!!稲穂を抱け・・・!!(爆)
 しかし僕の前世ときたら一体なんだろう。
 前世というものが本当にあるか否かはともかくとして、これはなんとも興味のある話題ではないか。
 閉所恐怖症である現・僕を考え合わせるにつけ、前世の僕は暗くて息苦しいところに閉じこめられていたに違いない。
 イナゴ人間と共に考えてみよう。
 暗くて息苦しい処にいるモノを・・・。
 「囚人・・・」
 な!!
 なにを云うのだ、このイナゴがぁ!!イナゴがぁ!!(何故、2度も・・・!!)
 「しかも足首に鉄球付けられて、シマシマの服着た囚人」
 か、可哀相〜!!!一体、一体、何をやらかしたんだオレぁ!!
 「オニギリ盗んだんだよ・・・。きっとそうだよ・・・。」
 わしゃジャンバルジャンか!!それとも裸の大将か!?唯一の台詞が「お、お、お、オニギリが大好きなんだな」なのか!?だったら貼り絵をしろ、清!そしたら大抵のことは見逃してもらえるぜ、清ィ!
 「あ。でも人とは限らないな・・・」
 フッ、現にイナゴだったヤツがいるしな。
 「開けられることのなかった、クリスマスプレゼント・・・」
 か、哀しい〜〜!!
 なんて哀しい、哀しい境遇なんだ、オレよ。
 プレゼントで、しかもクリスマス用というオイシイ立場にありながら、何故にそんな哀しいことになっているのだ、僕は?
 「お父さんがさ、死んだんだよ。それでクリスマスどころじゃなくなったんだ」
 貴様、どうして人の前世にそこまで悲観的になれるんだ。
 さてはただのイナゴじゃないな?
 「お父さんはさ、けっこうな借金しててさ。家やら、家財道具やらは、そのまま差し押さえられてさ。お父さんが、たった一人の娘のためになけなしのお金で用意していたプレゼントは、押し入れの中で開けられることもなく・・・、そのまま家は取り壊され・・・・、そうして君はプレゼントとしての命を終えたんだ」
 なんだ、その哀しい展開は。
 涙出ちゃうじゃないか。
 ちなみにその娘へのプレゼントは一体なんだったんだ?
 「・・・・・・・・・・・聞きたい?」
 うっ。(イヤな予感が・・・!)
 「くまの、ぬいぐるみ、だよ〜ぅ」
 ウヲッヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ〜〜ヨホ〜イ!!(号泣)
 なんて、なんてありがちな!そしてありがちだからこそ、なんて泣ける展開なんだァ!
 踊っちゃうぜえ、オレぁ。
 「黄色いお洋服を着てるんだよ〜ぅ」
 うう、もう駄目だ。
 涙で明日が見えないよぅ。
 そうか、僕はそんな境遇の中一生を終えた哀しきクマだったのか。
 わかった!オレ、クマ縫うよ!!クマ縫って世界中の子どもたちに配るよ!もう誰も、哀しい涙を流したりしないように・・・・!!
 「おう。頑張れよ」
 ニヤリと笑ってイナゴ人間は去っていった。
 おう。貴様も頑張って、イナゴの佃煮屋に就職せえよ。
 そして僕はクマを縫うべくインドはカルカッタに向かったのであった。
 そこで出会った試練の数々。
 果たして僕が出会った謎の老人の正体とは!?
 次回『インド屋敷でアラビックリ!タージマハル巨大ロボに変身!』をお楽しみに!!
 (って、ないないないない!)


(雷のため会社の電源が落ちるという有様。暗闇の中、雷光を受けて青白く光る人々の顔。思わず顔を見合わせた午後三時。うえええ〜、ついに来たか、この季節が!毎朝、雷神様にお祈りしている僕に、雷など当たりはしまい!!とは云え、やはり怖ェぜ。ちくしょうめぃ!)