其之壱百壱拾紫『髪の話』の巻



 ある朝、目を醒ましたらヨン様になっていた。
 ・・・・・・・・・髪型が。
 テテテテ〜ン、テテテテ〜ンテ〜ン、テテテ〜ン、テテテテテテ〜ン、テテテテテテテテテテテテテテテ〜。(←主題歌で)
 僕の髪は硬い。
 うっかり濡れたまま寝ようものなら、寝た時の体勢によって様々な寝癖がお目見えするのである。
 ヨン様髪型は、濡れたまま真っ直ぐ上を向いて眠った時に出来る冬ソナ的現象である。横と襟足の毛が風を受けたかのように後ろに流れているヨン様ヘアの自分を見て、僕は「ううむ」と考える。
 とりあえず眼鏡(近視用)をかけてみる。
 とりあえず手近にあったバスタオルを首に巻いてマフラー代わりにしてみる。
 とりあえず微笑んでみる。
 ・・・・・・・・・(10秒)・・・・・・・・・・・・ぬう。
 不気味だ。
 ヨン様が笑えば「貴公子」なのに、僕が微笑むと目の中に「殺!」である。なんか笑いながらめっちゃ怒ってる釣瓶師匠の目になっている・・・!放っておくとこのままパンツでも脱ぎそうな勢いなので、寝癖直しウォーターにて髪型を整えることとする。
 僕の短いヨン様体験は幕を閉じた。
                   *
 さらにある朝、目が醒めたらルパン三世の石川五右衛門になっていた。
 右側に首を傾けたまま眠り続けた結果、見事な五右衛門ワケになっていたというわけだ。
 テッテレッテ〜、テテテ〜、テッテレッテテ〜、テッテレッテ〜、テテテテ〜、テテテテ〜テ、テテテ〜、テ〜テテ〜。(←主題歌)
 とりあえず芝居で使った刀を持ってきてみる。
 とりあえず難しい顔で刀を振るってみる。
 とりあえず「またつまらぬものを斬ってしまった・・・」と嘆いてみる。
 いい汗をかく。
 冷蔵庫を開けてコンニャクを取り出し「ぬお〜!斬れ〜ん!!斬れ〜〜んんん!!」と叫びながら、コンニャクを斬ろうとしてみる。
 いい汗をかく。
 けなげな姫を見て頬を染めながら「可憐だ・・・」と呟いてみる。
 いい汗をかく。
 さらに発展して、気付けばルパンファミリーが勢揃いしている。
 あ、とっつあんまで居る。
 いやあ〜、こいつぁ面白くなってき〜たぜぃ〜。(ルパン・ザ・サ〜〜〜ド)
 ・・・・・・会社行け、俺。
                   *
 はたまた別の朝、目が醒めたらふかわりょうになっていた。
 うつ伏せていたのだろう。
 前髪から横のラインが、横に流れることなく真っ直ぐにかまくらラインを描いていた。
 テテテ・・・・・テテ。(←ふかわの主題歌って何だ・・・)
 とりあえず内Pで一番最後にヘコヘコ出てきてみる。
 とりあえず頼りない回答で内村さんに怒られてみる。
 とりあえずピアノを弾いてみる。
 とりあえず「ティ〜〜〜〜ン!!」と叫んでみる。
 ゴン!
 ・・・・・・・・・・・・隣の人に壁を蹴られた。(現在朝6時50分)
                   *
 大学の時、髪を長く伸ばしていた。
 硬く強いナイロンザイルのような僕の髪のことを何処で聞き付けたのか、ある日『完全犯罪強化委員会〜青き薔薇の砦〜』なる団体から「メジャー契約しないか」というお誘い受けた。
 もらった手紙には、『自らの髪で人の首をギュウギュウ絞めることの出来る貴殿は我が砦にとって必要な人物であり、もしも入会してくれるならば「凶器要らずのジョニー」として係長クラスの扱いを用意させてもらっている、と書かれていた。
 ・・・・・・・・・・微妙だ。
 なんなんだ、この微妙な契約内容は。
 ジョニーっちゅうコードネームもなんだか適当やし、係長クラスって・・・せめて課長クラスくらいから始めさしてくれませんでしょうか。
 結局、丁重にお断りさせていただいたが、砦の人が嫌がらせのように置いていった大量の洗剤は、今でも我が家の洗濯物をキレイにしている・・・。
                   *
 髪の悩みは数あれど、多くて太いこの毛髪、まさにナイロンザイルで出来たふえるわかめちゃん、の如しである。
 時代が時代なら、かつら屋さんにコイツを売って銭稼ぎ出来たものを・・・。
 無念である。


(お母さんから「今年は年賀状居るの〜?」と声をかけられました。そうですか、もうそんな時期ですか・・・。)



A Theatrical Campany yakoudou