| 其之壱百壱拾醐『インフルエンザ物語〜予防接種篇〜』の巻 |
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謹んでお尋ねしよう。 「君よ、インフルエンザの予防接種は済んだのかい?」と・・・。 僕は仕事場で行われた集団予防接種から遅れること半月、独りで淋しくこうして待合室に腰をかけ、ワクチン注入を待っている。 それと云うのも、集団予防接種の際にあの夜光堂をも震撼させた大風邪に体を支配されていたため、ワクチンの注射が出来なかったのだ。 「うう〜うううう〜」 待合い室で体温を測れば、テンションが上がる。 こんな僕ではあるが、注射でチュ〜とやられるのはやはりドキドキするのだ。どっ、そうしよう、実はもの凄く熱があったりして受けられなかったらどヲしよヲ!! ピピピ。 ・・・・・・・・・・・・36度2分。(チ〜ン) ツッコミようのない普通の体温に少々テンションダウン。しかしそうこうしている間にも、僕のワクチン注入の時は刻一刻と迫っていたのだ。 「七海様ぁ〜」 おお!!俺、サマっすか!!サマなんすか!? 「は〜いっ」 元気良く返事をし、案内された診察室に入る。 「ぬおおおっ!!!」 我が目の前に飛び込んで来たのは、なっ、なんと・・・。 「社長椅子・・・・!!」 僕の中の常識では患者の座る椅子なんちゅうもんは、くるりんこと回る丸椅子だったのだが、その病院の椅子は黒光ピカリ背もたれバッチリの社長椅子だったのである。 予想だにしなかった事態に、僕は一瞬「これ、座っていいのかな?」と素で思う。 「はい、そこに荷物置いて、そこに座って!」 は!は〜い!! 鼻がピ〜ンと尖った眼鏡カチャリの先生は、これまた立派な木のデスクに置かれたパソコンの前に座り、僕が先ほど書いた問診票を入力中。 先生、眼光鋭いッス!! 「はい、じゃあ質問します」 先生、早口ッス!! なんちゅうか、こう、インフルエンザの予防接種に来ただけの僕ですが、先生の周りに漂う雰囲気は「確かに君の病気は重い。が、一緒に頑張ろう!」みたいな感じだ。どうしよう、なんか変にテンションが上がってきてしまったぜ・・・!! ハ!!罠!?これは罠なのか!?いや、しかし一体誰が・・・!? そうこうしているうちにも先生の厳しい質問が矢継ぎ早に浴びせられる。 「薬などのアレルギーはないですね!?」 「はい!」 「大きな病気をしたことはないが、スギ花粉のアレルギーがあると!?」 「はい!」 「じゃあ血圧はかります!」 「は、はい・・・!!」 先生の突然のアプローチ・・・!!僕は慌ててトレーナー(黒)の袖をまくった。 「いや、そのままで!そっちのほうが正確です!」 「は、はい!!」 「三回大きく深呼吸して!」 「は、はふぅ〜」 シュコシュコシュコシュコ。 だ、駄目ッス。先生、オイラ、全然リラックス出来ないッス!!このジェットコースター問診に、もう既に心臓バクバクッス・・・!!! 「はい、126の78!」 見ろ。血圧上がってんじゃネエか。(通常は98の65くらい) 「じゃあ質問に戻ります!」 も、戻るのおおおおおおおおお!!!! こ、これで終わりじゃなかったのか!!? 「この肺炎というのは入院したの!?」 「し、しました!!」 「その後、後遺症とかないよね!?」 「ないッス!!」 「じゃあこれからインフルエンザの予防接種しますけど、これから3〜4週間くらいで抗体が作られます。ギリギリピークに間に合うでしょう!」 「よ、良かったッス・・・」(←既に魂抜かれている) ぬあ!! そんな会話をしている間にもいつの間にかやってきた看護婦さんが、僕のトレーナーの袖をスルスルスルスル・・・・!! 進んでいる。 確実に「七海インフルエンザワクチン注入計画」は実現への道を進んでいる。 僕はもうこの社長椅子から逃げられないのだ・・・ああ〜・・・。 ホコホコ飽和しだした僕の頭の中には不思議な耳3本ウサギが躍り出て、ピョンピョコピョ〜ンピョンピョコピョ〜ン。 「インフルエンザではショック死する人がいます!」 ・・・・・・・・・・・・・ウサギ、死す。 「しかし以前にも受けたことがあるということで、あなたは大丈夫です!!」 せ、せんせえええええええええええええええええええええ!!!(号泣) カッコイイッス先生ィ!!ワシ、信じます!あなたを信じます故!!どこまでもついてゆきます故にィ!! 先生がニヤリと笑った。 「じゃ、打ちます!チクッとしますよ!」 はい!頑張ります!! ・・・・・・・・・・・ん?痛くない・・・・。先生、ちっとも痛くないッス!! わずか3秒。 先生の手腕により、ちっとも痛くないまま、僕の予防接種は終わった。 「揉まないでいいです!お風呂も入ってかまいません!激しい運動さえしなければ、普通に暮らして問題ないです!!」 「は、はい!!ありあとっしタァ!!」 先生の完璧な段取りのもと、アッと云う間に予防接種は終わった・・・!!さすがに「この後、雨の中、傘もささずにチャリンコで30分爆走するんスけど、僕、激しいッスか!?」とも聞けず、僕はしおらしく2500円を支払い、病院を後にしたのだった。 僕はもうすっかりこの病院に参ってしまったぜ、母さん。 雨の中、自転車で爆走しながら、僕は「ああ、今度風邪をひいたらこの病院に来よう・・・!!」と決めたのだった。 13年に一度、インフルエンザにかかる女、七海。 今年もきっと大丈夫に違いない。 (僕はこれほど上手な注射を受けたのは初めてです。ビバ!!しかし今はもまなくていいんだなあ、インフルエンザ。僕の認識はかなり古いッス。(笑)) |