| 其之壱百壱拾宮『決戦再び!ビデオ屋VS俺様』の巻 |
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東北では今、ユースケ主演のドラマ『アルジャーノンに花束を』を再放送しているらしい。
たまたまそれを目にしてから毎日見続けていたらしい僕のハハは「今日お母さんが迎えに来たのよ〜」と最終回の感動をあっさり語ってくれた。 『アルジャーノンに花束を』と云えば・・・。 この僕が「ぐうごヲオヲヲヲ・・・・!!」と唸り泣いたあの感動の物語である。 「おかあやん!それは僕も見ていたぜ!!大泣きだったぜ!!」 テンション上昇中の俺様。 「そおねえ、涙出ちゃうわねえ」(ニコニコ) マイペースなハハ。 おまけにユースケ演じるハルの決め台詞(?)「すばらしい!」をモノマネしてくれるというズッコケ具合だが、とにかくハハが連ドラをこれほど話題にすることは珍しく、『アルジャーノン』がいかに多くの人の心の扉を叩いたかわかるというものだ。 見たい・・・!! 再びあの感動の物語を目の当たりにして「ウゴアウウアア・・・」と泣きたい!! 泣き腫らしたい!!!!(まぶたを) 僕はハハとの電話を切った後、「クハァ!!」と叫び、愛用の灰色チャリンコに飛び乗った。 急げ!急ぐのだ、俺よ!!今日が・・・、今日のこの想いが消えないうちに・・・!! 僕はネオン輝く「あの」ビデオ屋に飛び込んだ。 無論、自転車は置いて、である。紳士のたしなみである。 『趣味の小部屋・其之九拾麓』をご覧の方は既にご承知かと思うが、このビデオ屋、「やる気」という言葉から最も縁遠い場所に位置するビデオ店である。 今夜もカウンターに眠そうな目をしたエプロン兄ちゃんが一人、トロ〜ンという効果音と共に突っ立っているのみだ。 僕は連続ドラマゾーンへ一直線。 そう、僕の周りで数々の感動を巻き起こした『アルジャーノン』。さすがにこれほどの作品ならばあっさり見つかるに違いない・・・!! ザッと目を走らせる。 『ナニワ金融道』、おお懐かしい!!っていうかコレ連ドラじゃネエじゃねえか!!「三谷幸喜の世界」の文字の隣に並んでいるのは『人間失格』・・・ってソレ野島伸二じゃネエか!!笑いの対極にある話だぞ、こりゃあ!! もう既にこの時点でやる気がない。 シングルCDをもうっかり買ってしまうほどユースケ好きな僕は、ユースケの顔を頼りにビデオを探し出そうとする。 『お見合い結婚』・・・・違う。 『花村大介』・・・・違う。 「んんんんん・・・・・・んなあああっ!!?」 しばらくその棚を見続け、僕はやっと現実に気付いた。 「『アルジャーノン』がないやないけええええええええええええええええええ!!!」 わしゃ絶叫。 人よ、君よ、この虚しさが解るか!? しかし諦めてはいけない。このビデオ屋、「こんなところに何故、こんなビデオが!?」みたいな伏兵が見られることもある。 とにかくその他の棚も見て回る。 ない・・・ない・・・・ない・・・ヨン様・・・・ない・・・ない・・・・。 やはりない。 しかし僕の頭の中は既に「今夜はアルジャーノンを見て大泣きするんじゃい!」モードに切り替わっていた。 そう、これで諦めるわけにはいかない。 いかないのだ!(SE:ドド〜ン!!) 僕は勇気を出してトロン兄ちゃんの前に立ち、凛々しい顔でこう尋ねた。 「『アルジャーノンに花束を』はありませんか・・・?!」 見よ、この真剣な顔。 新撰組の行く末を考える近藤勇、討ち入り直前の大石蔵之助にも負けないシリアス顔である。今の俺はマツケンにも負けはしない。 しかし次の瞬間、そんなオットコ前を崩す恐るべき言葉が店員から発せられたのだ。 「・・・・今は置いてないですねえ」 なっ!? 「それはなにゆえ・・・?」 何故か時代劇口調。 「ええと」 ええと!? 「レンタル開始されてすぐぐらいは置いてたんですけどね・・・」 いいかアンちゃん。 レンタルビデオ屋てえのは「ああ、今更だけどこんな作品見たいなあ」という借り手側の気持ちを満足させるために存在する。すなわち、長きに渡って店にビデオを置いておかねば意味ないんちゃうんんかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! 怒り、怒り、怒り爆発である。 怒りのあまり奥二重が引っ込んでグオンと一重に!! ここにグラサンと白のスーツさえあれば・・・今の俺は哀川翔・・・哀川翔だあッ!!! そんな俺様の翔アニキオーラをモノともせず、アンちゃんはこう続けた。 「今は置いてないですねえ」(二度目) クハァ!!(血を吐く) 僕は2000ダメージを受けた。 僕は「何故アルジャーノンを置いていないのか」と聞きたかったのに、いつの間にか彼の中では問題が「今、置いてあるか否か」にすり替わっている。 ここでアンちゃんに睨みをきかせていても、今宵『アルジャーノン』を見ることが出来ないことはもう変えることの出来ない現実だ。 ああ、現実。 君はなんて冷たいんだ。 「あなたにだけですよ・・・」と店員さんがそっと『アルジャーノン』のビデオを握らせてくれるくらいの人情はないのか!? ないと・・・・いうのか・・・・? 「わかりました・・・」 僕はトボトボとビデオ屋を後にした。 「あ、あの!」 「え?」 店員が僕を呼び止めた。 こ、これは・・・運命の予感だ!!人情劇始まりの合図だ!! さあ云ってくれ店員さん。 その一言を!! 「他の作品ならありますよ?」 ・・・・・・。 「他の作品はいらんのじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 泣きながら帰った。 (『アルジャーノン』が見たいんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!クウ、無念なり!!) |