其之壱百弐拾尼『電気毛布論議』の巻



 人よ。
 電気毛布を知っているだろうか・・・?
 冬になると現れて、寒さに震える布団の中の我々を温めてくれるアイツである。
 僕は雪国育ちで比較的温かい関東に越してからも、冬の眠りには欠かさずコイツと床を共にしている。
 電気毛布を使っていない、と云う関東生まれの夜光堂メンバーに、僕は必死に電気毛布様の有り難さを説いた。
 「何故、君たちは冬に電気毛布を使わないのか!?」と。
 「何故、この包まれるような幸福の温かさに身を任せないのか!?」と。
 そして「何故、お爺ちゃんは絶えずぷるぷると震えているのか!?」ってね・・・。
 まずは去年くらいに吉田が陥落。
 「ぬは〜。七海さハァ〜ん。電気毛布ってあったかいニエ〜!!(原文)」
 温かいのだ。
 その為に作られたものだからな。
 落ち着け吉田。
 そしてついにこの冬、長いことゆたぽんで頑張っていた内山が電気毛布のめくるめく世界に足を踏み入れることとなったのだ。
 彼女は新しい寝床での彼を「カルロ」と命名。(実話)
 「アタシ、カルロを買ったのサ・・・」
 と、どっか路上で男でも買ったかのような口調で内山は云った。
 「そうか・・・。で、カルロは上(かけ毛布)かい?それとも下(敷毛布)なのかい?」
 と、場末のスナックのマスターの如く僕が尋ねる。
 「上サ・・・」
 「そうかい・・・」
 電気毛布と云えば下に敷くモノという家庭で育った僕は、続けて尋ねる。
 「で?どうして上なんだい・・・?」
 すると彼女は思いもよらぬ答えを口にしたのだ・・・!!
 おお、神よ。
 冬の神様よ。
 どうか彼女の素っ頓狂なその言葉をお許し下さい。
 彼女はこう云ったのだ。
 「だってさあ!下に敷くといつの間にかけっ飛ばして下の方にたごまる(←東北の方言。かたまる、とかの意)じゃな〜い!!」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・何ィ?」
 僕は思いきって聞いてみた。
 「君は一体どこに電気毛布を敷いているんだい?」
 「え?シーツの上だよ?」
 ん。
 んなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああふう〜ん!!!!
 な、何ィ!?
 電気毛布をシーツの上にのせて使っているだとお!?
 今まで僕は考えたことがなかった。
 そうだ・・・・。
 電気敷き毛布は一体どこに配置するのが正しいのだろう!?
 幼い頃から、電気毛布は敷き布団とシーツの間にセッティングする、と思い込んでいた僕の価値観は果たして正しいのか!?
 もしかしたら関東の人はみんなシーツの上にさっくり乗せて手軽に電気毛布を利用しているかも知れない・・・。
 とりあえずその場にいた人々に聞いてみる。
 「え?シーツの下だよ?」
 「うん。そうだよねえ」
 やはり・・・僕の認識は間違ってはいなかった。
 「うっちゃんさんよ・・・。電気毛布はシーツと布団の間に入れるもんじゃあねえんですかい?」
 「ええっ!?そうなの!?じゃあ上にかける場合は!?」
 「・・・・・タオルケットの上じゃねえの?毛布ってぐれえだし・・・・・」
 「ああっ!!そうかあ!!アタシ、直掛けだったよぉ!!」
 内山さん。
 こんなこと云っちゃあなんだが、アンタ、おバカさんだァ。
 しかもとっときの、な!(ウインク)
 低温火傷の第一人者だ!
 「いやあ、どうしてみんな敷いててずれないのかなあと思ってたんだよお。そおかあ、そおだったのかあ〜(原文)」
 がんばれがんばれううう〜っちゃん!!ハイ!!
 そんなに無邪気に云われちゃあ、アンタ、おいちゃん思わず応援したくなっちまうよ。
 内山良子。
 29歳にて初めて電気毛布に触れ、その配置を認識する。
 「ええ〜?みんな知ってるのかなあ!?美千子さん(吉田)に聞いてみようかなあ!」
 やや興奮気味に云う彼女。
 しかし僕は冷静に云ってやるのだ。
 「無駄だな・・・」
 「エエ〜?どうして!?」
 「アイツは平気で床で寝るようなヤツだ。きっと電気毛布も『かしわ餅なの〜』などと云いながら半分折りにして中に潜って寝るに違いない・・・」
 「そっか〜・・・」
 電気毛布は正しく使おうね!!


(最近電気毛布を買い換えました。ああ、なんちゅう贅沢な・・・)



A Theatrical Campany yakoudou