其之壱百参拾勒『恐怖!!阿呆阿呆だらけの大鬼ごっこ大会ッ!!』の巻 |
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怖ろしい・・・。 かつてこれほど怖ろしい体験をしたことがあっただろうか。 これほどの人混みの中で恐怖を感じるなどそうそう有り得ない。 黄金週間、僕は忍び寄る追っ手の恐怖と戦っていた・・・。 事の起こりは「そろそろ我々もいい歳だし」という一言から始まった。 燦々と降り注ぐ光の中でのほほんと休みを満喫していた我々は、そのただ事ならぬ雰囲気に「んあ〜」と口を半開きにした。 「なんだなんだ〜?」 「おお〜い、S木がなんか云ってんぞ〜」 「人間ドックで不治の病でも告知されたのか〜?」 口からアイスをはみ出させて集まった我々「アイスのヘラ連合会」の前で、S木がコホンと咳払いをしてみせた。 「え〜。そろそろ我々もいい歳ですし、街中でぼへっとアイスなんぞ喰らっている場合ではないのであります!」 おお〜と一同拍手。全員駄目人間。 「やはりこれから年老いていくにあたって、健康というものを重視せにゃならんわけで。その点においては我々はほぼ年寄り並み・・・いや、九十代並みと云えましょう。」 んあ〜と一同腹のニクを摘み合う。 「そこで!!」 クワッ!!とS木の目が開かれる。 「第一回!!チキチキ仙台商店街アーケード大鬼ごっこ大会〜!!!」 「んなッ!?」 「ルールは簡単だ!!この商店街のスペースを使っての鬼ごっこだ!!最初の鬼は一人!鬼に捕まった者は鬼の仲間となり、鬼の指示通りに行動せよ!!」 「ちょ、ちょっと待て待て・・・それは一体・・・」 「一体も二体もあるか!!話は最後までちゃんと聞けィ!!このアーケードの端から端まで、どこに逃げても構わない。勿論、建物内もOKだ!アーケードより外に出た者はすぐさま失格!!いいな!?」 「いいなって・・・。もうやること決まってんのか、コレ(ボソ)」 「A井よ。黙って聞かねえと後が怖いぞ(ボソ)」 「せんせ〜いっ。質問で〜す!!こんだけ広い商店街では夕飯時になっても捕まえきれないと思いま〜す!」 「ナイス!!ナイス後輩!!(ボソボソ)」 「ふっふっふ。そのことを私が考慮していないとでも思っていたのか!?逃げている者は、30分置きに自分の現在地を鬼にメールで伝えること!!」 「おお・・・。な〜るへそ」 「ユウ、オマエ、アイス口から垂れてるぞ」 「反対に誰かが捕まった際には、必ず鬼が責任を持ってそのことを全員に伝える!!まずはこの言い出しっぺが鬼を務めよう。制限時間は夕方の五時!!その時間になったら、再びこの場所に集合だ!!ではこれから5分後に追跡を開始する!!一同、解散!!」 「う。うわああああ〜〜〜!!」 阿呆、逃げる。 怖るべし、号令強制世代!! 御存知の方は多いだろうが、仙台の商店街と云ったら実際もの凄い広さと店の多さを誇る。横断歩道で区切られた一角とは云え、探すとなれば相当な苦労であろう。 人混みでごった返す商店街の中を駆け抜けながら、我々はもうすっかり追われる者の身に成り果てていた。 「とにかく、固まっていてはすぐに見つかる!!みんな、散れぃ!!」 「おう!!健闘を祈る!!」 「生きて逢おうぜ!!」 みんなの背中があちこちに消えていく。 僕も潜伏先を人で溢れるデパート内にすることに決め、足を進める。 (んん〜、本当は本屋などで実益をかねて潜伏したいが・・・あまりにもリスクが高いぜ・・・!!) あっと云う間に5分が過ぎ「いっくよ〜ん」という軽〜ぅいメールが鬼から届く。 とりあえずデパートの中でも混み合っている婦人服売場に潜伏。 「んん〜このTシャツかわええにぇ〜」などと一般客を装いながらも、かなり心拍数があがってくる。 ピロロロロリ〜ン♪♪ ハァツ!?な、何!? 『A井、確保。鬼と化す!!〜鬼より〜』 んなぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!なにやってんだよA井ィ!!!早すぎんだろ!!っていうかアノヤロ〜わざと捕まったんじゃねえだろうな!?くう・・・、これで鬼2匹か・・・、A井はオイラの性格を知っているだけに・・・エライことになってきやがったぜ・・・!! 仙台広しと云えど、婦人服売場でゴクリと生唾を飲んでいるのは僕ぐらいなものだろう。 総勢13人で始めたこの鬼ごっこ。 本元の鬼S木と、鬼と化したA井を除けば・・・あと、11人・・・!! ゴクリ、ゴクリと生唾を飲み、時たま地下食料品売場などで生ジュースなども飲み、あっと云う間に最初の三十分が経過した。 『全員、鬼に現在地を報告してください』 ついにこの時が・・・。 『藤○デパート地下食料品売場』→送信っと。 さて、これからどうするか・・・。とりあえず出入り口のある1階に近いこの場所は危険だ。エスカレーターが何本もあるとは云え、二匹の鬼に挟まれたら確実にヤバイ。とにかく上の階に逃げよう。 ガードマンに見つかったら「君、ちょっと警備員室に来てくれないかな?」と声をかけられそうな挙動不審な目つきで、あちこちを偵察しつつエスカレーターへ。 コココココ・・・と登っていくソイツがなんだか今日はとても遅く思える。 1階が見えてきた時であった。 見たことのある影が目の端をよぎった。 (おおぅ!M井!!アノヤロもここに潜伏してやがったか。でもなんで走ってんだ?・・・・・って鬼に追われとるからか〜あああああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっ!!) 公務員M井を追う鬼S木の姿が、さらに僕の視界を掠めていく。 こ、コエエ!!コエエよ、お母さんっ!! しかもなんでこんな時に限って俺の前にだれも乗ってねえんだよ!!丸見えじゃねえか!!頼ム!!頼むから気付かないで走り去ってくれ・・・・ッ!!!! 息を潜め、身をかがめ、ジッと耐えた僕の目から、二人の姿が消え・・・足音も遠く遠ざかった。 ・・・・・・・・こ、怖かった・・・・・。汗だくだくだ。 (公務員M井よ。どこまでも遠くに逃げ去れよ・・・) ホッと息つく僕の肩を、誰かが両手でポンと包んだ。 「よかったね、見つかんなくて」 「・・・・・・・・・・・・え?」 「はい。捕まえた」 んんぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!! 「A井さん・・・い、いつからそこに?」 「ユウがS木警戒している間に」 「ち」 「ち?」 「ち〜くしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!!!」 僕の悲鳴が虚しく木霊した・・・。 その後、鬼と化した僕とM井(結局捕まってやんの)をくわえ、2時間後には全員が確保されるという結末となった。 ある者は手を取り合い、ある者は騙し合い、様々なドラマの末、最終的には木更津キャッツアイの如く囲み漁で最後の一人を捕まえた我々・・・、いやあ、案外あの広い街でも出来るもんだぜ鬼ごっこ。 ふと運動不足を感じたら・・・その時は是非鬼ごっこをッ!! (阿呆ですわ・・・ホント) |