其之壱百獅拾悟『俺VSオッサン:チャリンコ買い換え事件』の巻



 自転車を買い換えた。
 それというのも、初代ダークレイダー(僕の通勤用シルバーチャリンコ)の後輪が、「わしゃもう駄目じゃ〜」とある日シオシオとパンクしてしまわれたのだ。
 あまりにペタンコな後輪を見て、わしゃ一発「んあ〜」と唸った。
 こりゃいかんと近場のホームセンターへ出向く。
 パンクしたチャリンコを引いて、僕はホームセンターの門を叩いた。
 「た〜のも〜!」
 中よりサービス担当の浅黒いお兄ちゃんが出てくる。
 「どういたしました?」
 「チャリンコがパンクしちまっただが、見てくんねぇだか?」と云う言葉を、社会人的言語でスラスラ話すと、浅黒兄やんは「では自転車売場でお待ちになってください」とニヤリ笑った。
 そして全館に響きわたる「業務連絡ゥ〜。サイクル担当〜、サイクル担当〜、正面自転車売場までェ〜」というアナウンス。
 おお、噂のサイクル担当が今、パンクしたチャリンコを引いた僕の前に姿を現す!!
 ババ〜ン!!
 「・・・・お客様ですか?(低音)」
 怖あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
 僕の前に現れたのは、口を真一文字に結んだ顔の顔の四角いオッチャンであった。
 ニコリともせずに眼光鋭く僕のチャリンコに目を走らす。
 ギロリ。
 あわわああああああ・・・・!!怖い!!第一印象怖い!!「オマエ、自転車もっと大切に扱えぇ!!」と一喝されそうな雰囲気である。一喝されてしまうのか、俺!?
 「・・・・どうしました?(低音)」
 「あ!え、あふぃ、あの、なんか後ろのタイヤが、エエ」
 オヤッサン、すかさず後輪側に回り込むと黄色い眼光でタイヤを点検。
 「・・・・パンク、ですね?(低音)」
 「あ、はぁ、やはりそうでしょうか・・・、その、オイラ、全然わかんなくて・・・」
 「・・・・ええ、パンク、でしょうね。(低音)」
 オヤッサン、カラコロロロ〜と車輪を回す。
 「・・・・限界でしたね(低音)」
 「え!?な、何がですか!?」
 「・・・・溝が・・・・。(低音)」
 オヤッサン、タイヤを指さす。
 「ああっ!!無くなってますね!?」
 「・・・・え、限界です。(低音)」
 「限界、ですか・・・」
 「・・・・限界です。(低音)」
 嗚呼、お母さん、ここは禅寺なのでしょうか?
 僕はこの自転車を通して、自らの限界を悟らされているのでしょうか?
 そしてこのオッサン、どうしてこんなに怖いんでしょうか・・・!?
 「前車輪も駄目ッスか・・・ね?」
 オヤッサン、素早く前へ回り込む。
 タイヤをコロロロロ〜・・・・そして一言。
 「・・・・ギリギリですね。(低音)」
 ギリギリイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!僕のほうがどっちかっつうとギリギリッス!!ギリギリなんス!!!
 「ギリギリッスか・・・」
 「・・・・え、ギリギリですね(低音)」
 最早禅問答も限界だ。勇気を出して修理のことを聞けば、中のチューブまで駄目になっていた場合交換に3800円、前のギリギリタイヤまで替えるとなれば、最早それは・・・・。
 「新しいの買ったほうが・・・安いってことッスよね?」
 「・・・・え、そうなりますね(低音)」
 眼光ギン!!
 「・・・・じゃ、買い換えます」
 「・・・・はい。(低音)」
 「あの、ハンドル一文字じゃないと乗れないんスけど」
 「・・・・では、こちらのほうに・・・・。(低音)」
 誘われた先にあった一文字のシルバーチャリンコ。
 心奪われた僕が「じゃ、この銀の下さい」と云うと、オヤッサンは口をキリリと真一文字に結び、銀チャリに繋がっていたプラスチックの鎖を外したのだった。
 「・・・・じゃ、これをレジに出してお会計してください。それまでに準備しておきますので。(低音)」
 怖い。
 買うと決めても怖いオヤッサン。
 僕がお会計と登録を済ませ自転車売場に戻れば、オヤッサンは黙々とチャリンコの出動準備を行っていた。
 僕にチラリと目を走らせ、ペダルコロロロロロ〜。
 こ、怖い。
 オヤッサンの作業が終わるまで、初代ダークレイダーとしばしお別れの会。後ろタイヤがペコペコになるまで走ってくれてありがとうよ・・・!!間違えてブレーキに油さして、ギィギィ鳴いたこともあったよなぁハハハ・・・ヤメロよ〜、涙が、涙が溢れてきちまうじゃねぇか・・・!!
 廃棄料を払えば、そのままお店で引き取ってくれるというので、このまま初代とはお別れとなる。感謝の気持ちでサドルを撫でれば、ホロリと泣ける。
 「・・・・出来ました。(低音)」
 「あ、ハイ!!」
 振り返れば、真新しいダークレイダー二号機(無論サバイブ)が僕を待っていた。
 「・・・・何かあったら、いつでもいらしてください。(低音)」
 オヤッサンの言葉は頼もしい・・・・そして怖い。
 「あ、すいません!ありがたっした!」
 ペカペカと光る銀のチャリンコに手をかけ、第一歩を踏み出した僕に、オヤッサンの声が・・・!!
 「お客様!(低音)」
 「え?」
 「・・・・ありがとうございました。(ニッコリ)」
 わ。
 笑ったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
 クララが立った!!クララが立ったがなんぼのもんじゃ〜い!!!
 笑ったオヤッサンは顔がくしゃっと崩れて、可愛らしかった。
 僕は笑ったオヤッサンに初号機を託し、僕はサバイブと共に新たな旅路へ出発したのだった。
 ギュィ〜ンン!!キュキュキュキュキュキュ〜!!!(高速発進後信号にて急停止)
 ・・・・そうか。
 後ろのタイヤが磨り減る理由はこれだな・・・。


(僕の大好きな漫画『魁!クロマティ高校』が実写映画化します!なんと神山を演じるのが、仮面ライダー龍騎で主人公城戸真司くんでお馴染み須賀っちなのには驚きッス。マスクドが板尾さんて・・・やるなあ!!是非見たいので、いろいろモメゴト乗り切って頑張って放映頼んます!!)



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