其之壱百檎拾壱『ごはんの間』の巻



 弁当を貰った。
 「あ、あ、あ、あう〜ん。」などと云いながら地面を這っていた僕を見かねて、北の民たちが弁当を作ってくれたのだ。
 そう・・・。その弁当を名付けるならば、『瞬殺!宮城のごはんの間弁当』。
 僕の予想を遙かに超える、怖るべき弁当であったのだ!!(ババ〜ン)
 ある日突然に送られてきたその宅急便段ボールの中には、二段重ねのお重が入っていた。
 「・・・・・。」
 なんだかむらりとイヤな予感を感じつつも、とりあえず上のフタを開ける。
 「こ、これは・・・!味噌むすびではないかッ!!」
 黒いお重の中には、僕の大好きな故郷の味、味噌むすびが入っていた。おお、美しき丸形おむすびよ!!それにこの甘い匂いは・・・!!この味噌もしや!?
 「ぺろり」
 グハァ!!!た、鯛味噌ぉ!!僕の大好きな甘〜い鯛味噌ではないか!!
 なんて有り難い・・・なんて癒やされるおむすびなんだ!!
 味噌むすびと云えば北ではメジャーな食べ物で、スーパーの惣菜売場や道の駅、観光名所の売店などでもヒョイと味わえる地元の味である。
 「もう俺ぁ、味噌むすびさえありゃあ何もいらんのジャー!」
 と叫びつつ、次の品へ。
 「おお・・・キノコの炊き込みご飯・・・ッ」
 お焦げも眩しきキノコの炊き込みご飯よ。
 ちょいとつまめば、ほんのり甘い醤油味が香ばしい。
 なるほど。
 上の一段はご飯の段。これすなわちごはんの間と云うことか・・・。
 ならば下段には、仙台名産のあんな肉やこんな牛が所狭しとひしめき合っておるのじゃろうのう!!さしずめ下段はお肉の間よ!!
 「ぐふ。ぐふはははははははっはあはははははははははあ〜!!」
 高嗤え、俺よ!
 キョンコロコットンと鳴る心臓を抑え、上段のお重に手を掛ける。
 いよいよ上段のお重が取り払われ、そして下段の全貌が明らかに・・・!!
 「こ、これは・・・・・・・・・ッ!!」
 僕は絶句した。
 ご飯の間を過ぎ、僕が行き着いた二段目は・・・。
 「ご、ごはんの間!?」
 二段目に鎮座ましましておられたのは、黄色い卵眩しいオムライス。
 そしてその隣にはイクラと卵散るちらし寿司。
 さらにはトドメとばかりに真っ白な米が僕の目をチカチカさせる・・・。
 これは・・・これは一体どういうことなのだ。
 北から関東までコトコト揺られているうちに、お牛様がご飯殿に変化してしまわれたとでも云うのか・・・。
 とりあえず一度上段を戻して、ちょっと考える。
 「・・・・・・・・」
 ひとまず開けてみる。
 開けてもごはん。
 もいっかい閉めてみる。
 閉めてもごはん。
 開けてもごはん、閉めてもごはん、開けてもごはん、閉めてもごはん、ハイッ!!
 おお友よ。
 これはどうやら妄想や幻ではないようだ。
 この弁当は、様々なごはんによって・・・素材ごはんによって構成されているのだ!!なんと表現したらよいのだろう・・・。OPトークからコント、ゲストトーク、ドラマ、そして歌まで全てアンガールズの番組を見てしまったかのような・・・。いや、もう一体何を表現したいのかも解らなくなってきた。
 ショックで死なないように一生懸命心臓をグゥで叩きつつ、段ボールの中からお重を取り出すと、底に何やら不気味な雰囲気をかもし出す妖しげな封筒が現れた。
 震える手で封筒を開ければ、中よりいでし温かき友よりのメッセージ。

 『我々が夜を徹して論じた結果、うまい米を食えば元気が出るという結論に達した。
  よって、米料理のみを送る。宮城のササニシキだヨ。』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・意味がわからん。
 意味がわからあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんんんんんんん!!!!
 何故だ!?
 何故そこに米が出てくる!?確かにササニシキはうまい!!うまいがどうした!?
 その結論に達するまでの経緯を説明せえよ!!
 何が「だヨ」だ!!オマエ、何歳だ!!脳天かますぞコンチクショウ!!
 さらにその手紙の下からわらわらと出てきたのは、「わたしが作りました」というメッセージと共に担当した料理とツーショットの笑顔の人々の写真が・・・。
 ここは道の駅か!?
 「これを作ったのは○○村のゴンゾーさんです」的なノリか!!
 うんうん、生産者・・・もとい料理人が解っていると安心だね、ってバカ!!(ノリツッコミ)
 まさに「ドキッ!主食だらけの大弁当大会!〜お新香もあるよ〜」状態である重箱の中を見て、してやられた僕ははむはむと臍を噛むのであった。
 そしてそんなシヨシヨの僕に、追い打ちをかけたのがこのオプション。
 『オムライスに立てて食べてね』(キスマークのついた旗)。
 「ぐうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオカマあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 怖るべしオカマ!!
 ん!?しかもまだ何か紙が。
 『白飯をめくれ A井』
 「・・・・・・・・・・」
 ぺろり。
 「こ、これは・・・!!(今日こればっかだな!!)」
 白飯の中には、我が憧れてやまぬあの美しきお肉様がぺろんと一枚敷かれておるではないか!!
 「おおお、こんな、こんなところにお隠れでありましたや、殿!!殿ォー!!!」
 人の優しさに涙しつつ、大量の炭水化物にて本日の夜飯とした僕であった。


(さらには数日後、ハハから高級お肉の焼いたやつを送ってもらい、僕は地を這うことをやめたのです。う、うまッ!!)



A Theatrical Campany yakoudou