| 其之壱百檎拾狗『温泉成分の粒が切れとるがなぁ〜』の巻 |
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夏休みである。 盆を休みナシで働き暮らした僕は、遅蒔きながら夏休みをとることにしたのである。 ちゅうか、寒ゥ!そして腕痛ァ!! それでも冬物の上着をぬくぬく着込んで、僕は北へ向かったのである。 「はやて(東北新幹線)」狭ァ!!でも早ァ!! 神経質そうなオッチャンの隣で、湯気ふぅふぅ蒸かしながらホカホカ牛舌弁当をモフモフ喰らう。すまねぇな、オヤジ。 「温泉よぅ〜。肩には温泉がいいのよぅ〜」 と云い張るハハによって、七海家は一路湯煙温泉へ! 我が故郷より一番近場の温泉に向かう。 今夜のお宿は硫黄泉の露天風呂が好評の七海家も大好きな温泉宿で、父・ハハ・明美共に過去何度か宿泊している。 「あのぅ。前に泊まってらっしゃいますよね?」 甚平らしきユニフォームをまとった仲居嬢が話しかけてきた。 僕は出来ればそっと放っておいて欲しいと願う寝てる最中のハムスター的お客のため、部屋に案内された際にお部屋係の人に勝手に茶を煎れられるのも勘弁して欲しいタイプである。 仲居の問いかけに微笑みでかえす・・・!そう、俺はペ・ヨンジュン・・・!! 仲居よ、この微笑みで全てを察し、ここから去ってはくれまいか・・・? 「ん〜、そうだね〜、何回か来てるね〜」 オヤジィ!! 駄目だろ、答えちゃァ!!えぇ!?俺の微笑みを無にしよってからにィ!! 「やっぱりそうですかぁ〜!もう〜、云ってくださらないからなかなか話しかけられなかったんですよぅ〜」 なんでわざわざ貴様にそんなこと云ってやらなきゃなんネェんだよ!!フロントで「自分、この宿三回目ッス!!押忍!!」とか云えばよかったんですか?そうなんですか? 「お客さんの顔覚えてるなんて、さすがだねぇ」 オヤジ。誉めちゃ駄目だろ。誉めちゃ。話続いちゃうだろ。 「前にいらしたことあるなぁって思ってたんですよ!!」 そこで仲居、僕の顔を見て一言。 「前も本読んでらっしゃいましたよね!?(ビシィ)」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ」 そう、僕は温泉宿で本を読む。 京極夏彦とかのブ厚いヤツを持っていって、風呂あがりにコレでもかっちゅうほど熟読する。まさに至高の時である。 アヤコちゃん(仲居名前・ピッチピチの20歳)よ・・・。アンタ、もしかして部屋に挨拶に来た時に、僕がひとっ風呂後の読書を楽しむあまり、君のお部屋紹介を聞いていなかったことに密かに腹を立てていたのかい?そうなのかい? それとも本来は腰掛けるはずの椅子を机がわりにして、床に座り本を読んでいた社会人の殻を脱ぎ捨てた僕がオカシイ奴だとでも云うのかい? 「っていうか、温泉来たら普通本読むよね?」 とハハに問えば、 「読まないわよ〜」 と一刀両断。 僕がオカシイ奴だった・・・!!(ザッパ〜ン)スマン、アヤコよ。次回訪れた際には、貴様のお部屋説明を正座して聞こうじゃないか。 「グハァ!寒ぅ!!」 叫びながらヒタ歩く露天風呂までの道。 お湯に浸かればクハァと生き返るも、ハハに「右手あげてごらんなさいヨ〜」などとリハビリを強要される。 「ヤメテくれよ〜。内湯の人から見たら、何故か温泉で大喜利やってる人みたいに見えるだろ!?」 リハビリの先生に「温泉入っていいッスか〜?」と問うたところ、「今は温める治療をしているので、むしろ入ってください」とあっさり許可を得た僕は、勇んで硫黄泉に浸かったのだが・・・。 あ、あがらん!!てえか腕が痛ェ!!クソゥ!!負けるか!!負けてたまるか!!僕はこの硫黄泉を味わうのだ!!「クハァ、やはり温泉一番じゃのう」と云うのだ!! 気合いで温泉に浸かり続ける七海亀吉75歳。 右肩に重いボディブロー的な痛みを繰り出す硫黄泉に浸かること三回。 気付けば右肩の調子はすこぶる良くなっていたのである。 硫黄泉は確かに僕に効いていた・・・!!母さん見てよ!僕、腕が耳に着くんだよ!? 温泉、凄し。 (リハビリの先生に芝居をやっている素性を隠しつつも「あの、どれくらいで腕立てとか出来るようになるでしょう?」と聞いたところ、「・・・腕立てをされるんですか?」と真顔で聞かれてしまいました。「ハァ・・・。すいません」と何故か謝る僕。何だ、この会話?) |