其之壱百鹿拾碌『風呂場インド』の巻



 インド的マッサージジェルを購入した。
 何故・・・?
 何故かと問われれば、それはひとえにニセエステ・・・風呂場で自らモニモニと腹を揉み、幸せ気分に浸りたかったからだ。
 僕が大金持ちであったならば、店に通い詰めてゲルマニウムナントカに手足を突っ込み、体から毒素的な湯気をモウモウと立ち上らせ、店の人々を恐怖のズンドコに陥れたいところだが・・・毎日チョポチョポと働いておる身としては、自分ち風呂場エステが似合いであろうて。
 フムフム。
 このジェルを塗り込めば、たちまちポカポカと熱を発し汗をドクドクかけるらしい。
 フタを開けて絶句した。
 「イ・・・インド臭い・・・っ!」
 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!インド臭あああああああああああああああああああああああああああああああああああああいいいいい!!!
 と、叫べばインドの方に失礼かとは思うが、その甘いんだかしょっぱいんだか辛いんだかなんだか解らない無茶苦茶感は、まさに「インド臭い」の一言に尽きる。「インド物産展」・・・そう!まさに風呂場は「インド物産展!!」!!
 変な象の置物みたいなの売ってます、的な・・・。
 しかし匂いでめげている場合ではない。
 このジェルを塗り込めたその時こそ、幸せエステ空間が姿を見せるのだ。
 ニョロリ。
 チューブを絞れば、香辛料のツブツブが混じった茶色いものが・・・!!おおぅ!インド!
 インド行ったことないけど、インド!!
 ニヤリと笑いつつ、胴にジェルを塗込む!!
 「おお〜ぅ・・・おお・・・?お・・・・??」
 なんか思ったほど大したことないような・・・。
 塗込みが足りないのか?
 「ウラァ!!ウラァ!!ウオラァ!!セイ!セイッ!!ヤア!ヤハァ!!」
 説明書きには「気持ちよいと感じる程度のマッサージ」で良いらしいが、塗った途端「ウロアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!インドキター!!!」的な衝撃を感じたかった僕としては、もう精一杯インド的なものを塗込むしか手はなかった。
 しかし。
 「何だよ・・・ちっともカアアアアアアアアってならねぇじゃねぇか・・・」
 熱くならない。
 殿風に云えば「ちっとも熱くならぬではないか!!」。
 「千葉真一魂見せてみろコルァ!!」
 渇を入れて見ても、僕の腹は汗ダクダクどころか、ウンともスンとも反応がない。
 「ああ・・・しょ〜もないもん買ってもうた・・・」
 ちっとも燃えない腹に塗り込められたジェルをシャワーで洗い流し、僕はシヨシヨと風呂場を後にした。
 ゴマ油効果で確かに腹はスベスベになったが、僕が求めていたのは燃えるインド魂である。腹肉たちが「わしゃもう駄目じゃぁ〜」と云いながら、ホカホカ良い気持ちで流されていくエステ感覚なのである!!
 凹みながら風呂から出た僕は、寝間着の上に上着を羽織って「どうぶつの森」へ旅だった。
 あ〜。今日暖房いらないな。温かいし。
 ピコピコ。おお、ビンタくん。今日も可愛いなぁ。
 ふぅ。
 なんか今日暑いな・・・。上着脱ぐか。
 ピコピコ。おお、オーロラちゃん。今日も僕に貢いでくれるのかい?よ〜し、売っ払って家デカくすんぞ〜。
 ああ、それにしても暑ぃな・・・。
 うん、そうだな・・・なんちゅうか・・・腹の辺りが。
 インド効いちょるううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!


(お母さんがお弁当を送ってくれました。)