其之壱百鹿拾蜂『ハロース〜イス〜』の巻



 土曜日である。
 ペコペコと晴れて大変気持ちの良い土曜日なのである。
 そんな日の朝、僕は耳鼻咽喉科へ行ってきた・・・!!
 晴れた二月、人生一桁から花粉症と共に春を歩んでいる僕は、既に目を赤く腫らし、鼻ズビズビ、クシャミでチクショウコンチクショウの有様である。
 「今年は花粉少ないんですってェ〜」
 などと浮かれている諸氏!!
 花粉は少ない・・・しかし、無になったわけではないのだ!!花粉は確実にやって来ている!!それを忘れるな!!花粉ナッシングと思うなかれ!!
 僕など、家の中でも誕生日にうっちゃんにもらったイオン発生装置の範囲内(半径1M50p)で生きているのだぞ・・・!!くぅ!!
 例年ならば病院など行かず、アルガード(目薬)と鼻セレブ(やわらかティッシュ)で春を生きる僕だが、今年は鼻や目に合わせて喉をやられ、シヲシヲと病院へ行く羽目となった。
 あ〜あ〜あ〜。
 むぅ。思うように声が伸びぬ。
 これじゃあ、くるくる回りながら「ハロース〜イス〜」とハイジ声で歌うこともままならぬ。
 「はい。どうしました?」
 あ、どうも先生。プラスティックの楊枝を噛み飲んだ際にはお世話になりました。
 「今日はどうしました?」
 ええ、喉が・・・。痛いとかじゃないんですけど、調子がおかしくて。
 「腫れている感じはありますか?」
 そうッスね・・・。いや、ないな。やっぱ、ないッス。どっちかってえと、声が出しづらいって云うか・・・。
 「はい、口開けて」
 かぱ。
 オエ〜。舌を金属で押される僕。ああ、無抵抗。まな板の上の牛肉。
 「んん〜・・・。じゃ舌出して」
 ンベロ〜ン。
 出した舌にガーゼを乗せられ、さらに喉の奥へと診察は進む。
 「はい、エ〜って云って」
 「エエェェェェエエェェ〜(←ダミ声)」
 「はい、もっと」
 「エエエェェェェエエエエエッェエエエエエエエ〜!!(←必死)」
 「はい、一回吸って」
 「シュゴオオオ!!」
 「はい、もう一回エ〜」
 「ウェエエェエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!(←既にヤケっぱち)」
 「はい、いいですよ」
 く、苦しいですばい!!(←何故か九州男児)舌を持たれたまま「エエエ〜」と発声することがこんなにも苦しいとは!!今度、夜光堂の人たちにも味あわせてやらねば。(迷惑)
 「ええと、これはね、声帯っていうのがあるんだけど、固い板が二つ合わさったようなやつね」
 云いつつ先生、声帯に見立てて合わせた手をカパカパ。
 「こうやって声になるのね。これが、ちょっとこう炎症をおこしてるんだね。だから、声が出づらいし重い感じがする」
 おお!確かに、なんか重い感じがしておったですばい。
 「これはね、今どうこうしたからと云って治りません。薬を出しておきますから飲んでください。あと、吸ってってね」
 吸う・・・ということは・・・!!
 「は〜い、こっち座って下さ〜い」
 出たァ!!看護婦さんが誘う薬吸引マシーン前!!!
 器具を手渡され口に当てると、シュッゴゴゴゴゴゴ・・・出てきたぜ白い煙が!!
 「フゴ〜!フゴ〜!」
 あっちこっちから煙を漏らしながら、必死に薬を吸う。
 ふと隣を見れば、鼻に器具を突っ込んで「ンフンフ」と薬を吸い込むガキンチョの姿が。ふふふ、オマエ、鼻から白い煙立ち上らせちゃってるズェ。かく云う僕も、口の端から怪しげな煙を漏らしているがな・・・ふふふ。
 煙が出終わり、ティッシュで口の周りをコシコシ拭いて、「ありあったっした!」と僕は診察室を後にした。
 その後胃薬を含めた四種類の薬をもらい、僕の耳鼻咽喉科通いは幕を閉じた。
 ハロース〜イス〜。(くるくる)


(天気のよい休みの日。『サイレン』が見たくて映画館に出掛けていったが、僕の街では『サイレン』をやっている映画館が無かった!!チッキショ〜!!←小梅太夫)