| 其之壱百七拾『傷を負う』の巻 |
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「・・・三種ワクチンやってないのよね」
と、ハハが云う。 「・・・誰が?」 一応問うてみる。 「・・・あんた」 ・・・・。 「お母さんさぁ、あんた小さい頃入院したじゃない。本当は検査から帰ってきたら連れていこうと思ってたのね。でもそのまま入院しちゃったから・・・ね?」 「・・・うん」 「破傷風には気をつけるのよ」 今更かああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! 三十年ッ!! 人生三十年目の真実!! 僕は破傷風に気をつけなければいけない体だった!!!(ババ〜ン!!) 「お母さん、アンタ、そういうことはもっと早くに云ってくれなきゃ駄目じゃないか!!今まで色んなことあったよ!?明美、色んな怪我負って来たよ!?」 「そうねぇ」 そうねぇどころの話ではないのである。 校庭で転んだ〜僕ゥ〜、膝をすりむいた僕ゥ〜、砂が傷口についた僕ゥ〜。 そんななにげない日常のヒトコマが、まさに生命の危機だったとは・・・!! 「実は破傷風に気をつけなければならない体だった」事件は、知らなきゃ良かった事実として僕のココロに深く刻まれることとなったのだ。 これからマキロン常備を義務づけられた生き物は、日々、スッ転びと砂利道に気をつけながらシヨシヨと生きていくしかないのだ。 嗚呼、マキロン。 小学生の頃、高台の坂からブレーキ無しでチャンリコを走らせ、ふもとの変電所のフェンスに真っ正面から突っ込んだことがある。 チャリンコのカゴはぐにゃりと曲がり、タイヤはひしゃげ、頬にはフェンスの跡がクッキリとつき、そんな漫画のような顔のままハハにこっぴどく怒られた。 「なんでこんなことしたの!?」 と、ハハは大変怒っていたが。 「・・・・・・・・」 そんなことは僕のほうがむしろ聞きたいのであった。 オレ、なんでそんなことしたんだろう・・・??? 今の僕ならば、不敵に笑いながら「風を・・・感じたかったから」とか云うのだがな。 ん〜、ダンディ。(しかし頬にフェンス跡) 僕の手のひらからは凶凶しい気が放出されているようだ。 それは気に敏感な動物たちに、より激しく感知されるらしく、過去様々な動物たちに嫌われてきた。 抱かれたトイプードルはカタカタを通り越して、ガタガタと腕の中で激震。 柵の中で楽しげに遊んでいたコーギーも、僕の手のひらを差し出すと微動だにしなくなる。 吉田家のハムスター「るか」を腕の上に乗せると、「ウオオオオオオオオオオオ!!」という気合いと共に必死で逃げようと激走。 我が家のハム「オロカ」ですら、僕の掌に乗せると「ビヨン!」と何度も身投げした。 上野動物園触れあい広場の仔山羊は、僕が撫でるとどこまでも走って逃げて行った。 何故だ・・・!? 一体僕の掌から一体何が出ているというのだ・・・!? 毒素か!?毒電波か!?哀しい気持ちか!?給食のマーガリンか!? 僕と動物・・・それは、スギ花粉とアレルギー患者の関係。 牧羊犬と羊の関係。 僕と動物が分かり合え、やらかい生き物をこの腕に抱く日は一体いつやってくると云うのか!? それともいっそ人間である素性を隠し、牧羊犬としてどこかの牧場に雇ってもらうほうが僕にとっての幸せなのか・・・!?わっふわっふ。 『少年三白眼』ヒロム君的な目に遭うたび、ココロに傷を負う・・・。 (この前、森の住人からノミを採取しました・・・。所詮は畜生なのか・・・!!) |