| 其之壱百七拾互『趣味の小部屋を辞める日』の巻 |
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「もう限界です・・・。週1で〆切がやってくるなんて・・・週刊少年ジャンプの作家並みじゃないですか・・・。『趣味の小部屋』をやめさせてもらえませんか・・・」 ある日の僕は、説教部屋の畳の上、痺れた足をモジモジさせながら正座中。 鉄格子のはめられた窓からは、温かな日射しが漏れている。 ああ、美しき春の木漏れ日。 遠くから聞こえる雀の鳴き声もまた、よろし。 「お茶でも」 僕の目の前には、何故かキューピーのお面を被ったスーツ姿の人が座っていて、苦さ満載の緑茶を勧める。 ああ、今夜のご飯は何にしよう。 何故かブロッコリーにマヨネーズをつけて食べたい気分。 「『趣味の小部屋』をやめたい、と・・・?」 そうだった。 「ええ・・・」 「そうですか・・・」 「ええ・・・」 沈黙。 目の前には無表情なキューピー。 アスパラが食べたい。 「先日、真っ青なクマのぬいぐるみを作ろうと思ったのですが」 キューピーが抑揚のない声で語り出す。 「作っている最中に、何故かドクロスーツを着たアリクイになっていたのですよ」 あ。そういえば僕、マヨネーズは味の素派なんだっけ。 「何故でしょうね。私の望むものはいつも、手の中から逃げてしまう」 しかし、アスパラは美味しいなぁ。真っ白いクタっとした缶詰のアスパラも良いが、やはり茹でたてシャキシャキの青いアスパラは絶品だ。緑の野菜は大抵嫌いだけど、アスパラだけは認めてもいいなぁ。そう云えば、今日マツキヨのチラシが入ってたっけ・・・。 「しかもそのアリクイを見て、娘が泣きましてね。心が痛みましたよ。初めてでしたから。娘に『父様の役立たず〜!』なんて罵られたのは」 マツキヨのポイントどのくらい貯まってたかな。あれ、自分でお金出したくないもの買うのに丁度良いんだよな。インドは良かった。 「私もついカッとしてしまいましてね。『このアバズレが〜!!』と云いながら、頭をこうガッと掴みましてね、その後のことはちょっと覚えていないのですが、妻の云うことには17〜8回くらい頭上で回しましてね。挙げ句には桃色のほっぺに、茄子のヘタをペタペタ貼り付けたようなんですよ」 しかし話長いな・・・。長い・・・。長芋食べたいな・・・。 温泉卵混ぜて熱々ご飯の上にのせて食べるとうまいんだよな。ああ、早く帰りたいな。ちょうど今帰るとスーパー寄る頃に値引きが始まるんだよな。いいなぁ、長芋。 「はははは。大丈夫ですよ、そんな不安そうな顔しなくとも、貴方にはそんなことしませんから。例え『趣味の小部屋』を辞めたいなんて云ってもね・・・ふふふ」 長芋ぉ〜。 あ。なんかいい感じだな。 これ、山頂だったら絶対叫んでるな。な〜がいも〜ぉ!! 「・・・・・・・・・七海さん?」 な〜がいもぉ〜・・・な〜がいもぉ〜・・・。(こだま) 「・・・・・・・・・・・ふぅ」 目の前からキューピーが消えた。 しばらくして戻ってきたキューピーは、僕に何かを手渡す。 「わん」 あ。子犬だ。 「〆切守ったら、抱かせてあげますからね。さ、来週も頑張りましょうね」 わーい、子犬だー!!子犬だー!! わーい・・・。 謎のキューピーの機転により『趣味の小部屋』は幾度かの連載終了の危機を乗り越えている。 らしい。 (最近、久々に本棚の奥深くに潜んでいた『くみちゃんのおつかい』を読みました。うぬぅ!!やはりオモシロイ!!高校時代『ハロウィン』と『眠れぬ夜の奇妙な話』を読み漁り、今でも『ネムキ』を愛読している筋金入りの朝日ソノラマっ子であることを思い出しました。しかし『眠れぬ夜の奇妙な話』は良かった・・・。気持ち悪い話がいっぱい入って いて・・・。機会があるならば、是非とも雑誌の形態で読み直したいものです。) |