其之壱百九拾檎『傘と合羽と長靴と』の巻



 宮城県が豪雨に襲われた。
 ニュースを目にし、ハッとして北の民に電話を入れたところ、
 「合羽着て会社行ったァ」
 とのこと。
 さらにうちの親父に電話したところ、
 「合羽着て自転車乗ってったァ」
 とのこと。
 何故だ・・・何故、合羽を着てまで会社へ行くのだ北の民!!
 僕なら間違いなく遅刻する!!(ババ〜ン!!)
 しかし思い当たることはある。
 僕も北に棲んでいた頃には、大雪降る中、革靴で2時間かけて学校へ行ったことがある。授業開始から1時間30分程過ぎているにも関わらず、我が高校の近くには大雪を漕いで出向いてきた高校生たちの列が出来ており、なんだかじんわりと感動したものだった。
 (しかしその後、学校放送にて『授業ないんで帰んなさ〜い』と云われた我々は、「うひょ〜!やったァ〜!授業ネェ〜!」とひとしきり飛び跳ねた後、皆無言でコートを着込み、また2時間かけて自宅へと戻って行ったのであった・・・。む、無念・・・!!)
 ちょっとやそっとの悪天候くらいは合羽でどうにかなる・・・それが北の民の心意気なのかも知れない。
 ちなみにうちのハハは、
 「長靴はいて買い物行ったの〜」。
 上の文章を「合羽と長靴でどうにかなる」と訂正しよう。

 雨と云えば、小学生の頃、僕のクラスメイトの男子が雨の日傘を忘れたと云って、ピアニカに付いているジャバラのクダをブンブン頭上で振り回して雨を断とうとしていたことを思い出す。
 雷をも真っ二つにする石川五右衛門じゃないんだから、ただの小学生である貴様にピアニカのジャバラ如きで雨を防ぐことが出来ると思っているのか・・・!?
 彼は数歩もいかないうちにずぶぬれになっていたが、諦めずに何度もジャバラを回し続ける姿が勇ましかった。
 しかし彼はミスをおかした。
 ジャバラを振り回すため、むき出しで雨に当たっていた彼のピアニカは、鍵盤を押すと音ではなく水がジンワリ溢れ出す「楽器以外の何か」になってしまったのだ。
 音楽の時間、それを誤魔化しながら、あたかも音が出ているかのように振る舞っていた彼だが、音楽教諭にあっさり見破られこっぴどく叱られていた。
話を聞いた先生が一言、
 「Kくん!!ピアニカは傘じゃないのよ!?」
 とは、今でも忘れられぬ名言である。
 まったくだ。


(そういえば下敷きを頭に乗せて雨を凌いでいる女の子を見たこともあります。僕の通っていた小学校はエキセントリックな子どもが多かったのでしょうか・・・)