其之弐百壱『今年もインフルエンザ』の巻



 注入した・・・!!
 今年もインフルエンザのワクチンをニュニュ〜っと注入する時期がやってきたのだ!!
 しかし今年の俺はひと味違う。
 去年僕の二の腕をモニモニと揉んだジイサン医師が医師界を引退したため、今年は二の腕を揉まれずともインフルエンザの注射が受けられるのだァ!!(ババ〜ン)
 いくらタダインフル(会社の金でタダで受けることの出来るインフルエンザ注射の意)とは云え、医者に二の腕を揉まれる筋合いはない。
 今年の先生は小児科の医者である。
 指定された時間に会社の人々と共にゾロゾロと病院へ移動。
 あらかじめ記入してあった問診票を差し出せば、体温計を渡される。
 む?
 「くあ〜!しまった!朝、熱計るの忘れちまったァ!!・・・ま、適当でいいか」
 と記入した36度4分の偽装がバレたのだろうか・・・!?
 さすが看護士。
 見る目が違う・・・!!
 渡された体温計をワキに挟んで、しおしおと椅子に座っていると、
 「あっ!!記入してある人は体温(計らなくて)いいそうです!!すいません!!」
 看護士叫ぶ。
 「あ・・・そ、そうですか。じゃあ・・・」
 と体温計を抜き取れば、奇跡の36度4分。
 見ろぃ、やっぱり36度4分じゃネェかと、浮かれながら椅子で待つ。
 その間にも先に注射を受けていた人々が、次々と微妙な顔で現れる。
 「イテテテ〜」
 ヤメロォ!!悪戯に恐怖感を煽るんじゃない!!
 ソファの上でゴロゴロと転がるも、順番は確実にやってくるのだ。
 「はい、七海さ〜ん」
 はい、呼ばれました。
 診察室に入れば、優しそうなメガネ先生が待ち受けていた。
 「はい、子どもいませんね〜?」
 「はい!」
 「はい、妊娠してませんね〜?」
 「はい!」
 「はい、それだけ確認〜」
 椅子に座るなり確認されてしまった。
 「はい、喉みま〜す」
 あんが〜。
 「はい、だいじょうぶで〜す」
 はい、喉、見られました。
 怖るべし小児科医!!ソフトな口調と淀みのない流れるような診察で、あれよあれよという間に注射を刺すところまで事態は進んでいる!!
 腕をムン!と出せば、先生、ニコっと笑って一言。
 「ちょっとチクっとしますよ〜」
 医者はみんなそう云うぜ!!
 そしてワクチン注入。
 注射針を抜いた先生は、綿を当てた場所をギュッギュ!と揉み、
 「はい、今僕揉みますから、あとは揉まないでしばらく押さえてて下さいね。あまり揉み過ぎるとよくないから!」
 あ、新しい!!
 今まで注射をしたら「よく揉んでね派」と「もまなくていいです派」に別れていたが、先生はまさに「折衷案派!!」。
 先生に別の意味で腕を揉まれた僕は、そのまま綿を押さえて診察室を後にした。
 会社の人が「今年のワクチンは(注射打った場所が)腫れるんだって〜」と云うのを聞いて、「へぇ〜」などと呑気に頷いていたら、後々本当に腕が腫れた。
 変なところに筋肉が付きました・・・みたいな腕になっている・・・。
 こうして今年も無事摂取した予防注射。
 今日は暴れずに大人しく生きていこうと思う。


(先に注射を受けていたハハに「今年のワクチンは腕が腫れるねぇ」と云ったら、「え?腫れてないわよぉ?」と云われました。地方によってワクチンの種類が違うのか・・・それとも北の人間は腕が腫れないようになっているのか?謎です。)