其之弐百拾鉢『特殊能力を持つ者』の巻 |
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人には特技がある。
夜光堂のよちさんは動物とたちどころに仲良くなれる、ココロ内ソロモンの指輪保持者だが、僕と云えば「ウヘヘ」と近づくそのわずかな瞬間に、あっという間に動物に警戒されると云う・・・ある意味特殊能力を持ち合わせている。 僕を見てふるふると震える動物の数が、一匹や二匹では止まらないため、これはもう完全なる技能であると認識してよいものと考えられる。 野球がうまいヤツ、料理がうまいヤツ、数学が得意なヤツ、お笑いのセンスがあるヤツ、そして・・・動物に警戒し続けられるヤツ。 これを自らの能力と認識し、履歴書の長所の欄に『どんな動物でも警戒させられる』と堂々と書いて就職活動に臨みたい思う。 しかし、僕はさらに驚くべき力を秘めた特殊能力者の存在を目の当たりしたのだ・・・! その時のハナシを聞いて頂こう。 よちさんは、何故か子どもに怯えられる。 動物と仲良くなるのならばお手の物だが、これが人間の子どもとなると、たちどころにうまく行かなくなる。 本人も子どもが苦手だと云ってはおるものの、人として、乳幼児を見れば、人並みに微笑んでみたりもするのである。 ハナシに聞くところによれば、よちさんに微笑まれたある幼児は、固まったまま動かなくなり、ある幼児は身がすくんだその後、母親に連れられて背中を向けた途端に泣き出す始末なのだ・・・と。 貴様は雪女か!! あわよくばそのまま子どもを凍らそうと思っているのではないのか!? いや、それとも見た者が目を離せないという特徴から、メデューサの一族であるとも推測出来る!! 気をつけろ、幼児たちよ!!10分ぐらい見てたら、石になるぞコンニャロウ!! どちらにしても、妖怪の類だ。 鬼太郎に目をつけられないように、くれぐれも悪さをせず、大人しく暮らしていくがいい・・・。 そんなハナシを聞いていたものの、実際に幼児を凍らせた現場を見たことがなかった僕であるが、先だっていよいよその瞬間を目撃することとなった。 それは、一緒に電車に乗っていたことのこと。 混んだ車内に、赤子を連れたお母さんが乗ってきた。 周りがキュウキュウであるにもかかわらず、赤子は大人しくお母さんの腕に抱かれ、あちこちに目をやりながら、それなりに電車での移動を楽しんでいるようだった。 ニコニコと電車に乗っている人々を見つける赤子。 そんな愛らしい赤子の登場に、電車に乗っている人々もニコニコと微笑み返し、和やかな空気が満ちていた。 そんな中、ふと赤子の動きが止まった・・・。 「ん?」 不穏な空気に、ふと隣を見れば、赤子とよちさんの目線がバッチリ合っている・・・!! 赤子を見つめる吉田。 ビックリした顔のまま、そこから目が離せない赤子。 い、いかん!!この状況は非常に危険だ・・・ッ!! 「よ、よちさん、やめるんだ・・・」 そう言いかけた時であった。 今まで、周りのおばちゃんたちにあやされてニコニコ顔だった赤子の顔が、一瞬にして大きく歪んだのだ!! 「うえ・・・うえ・・・」 な、何ィ!? 「うええええええええええええええええええええええええええええええんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!」 な、泣いたあああああああああああああああああああああああああああ!!! 明らかによちさんを見て赤子が泣きよったああああああああああああ!!!! 伝説は本当であった。 よちさんは、一瞬にしてご機嫌だった赤子すらも恐怖のズンドコに陥れることが出来るのだ!! 凄ェ!!この人凄ェ!! 後でその赤子を見ていた時の顔を、実際に再現してもらったので是非ともご自分の目でお確かめいただきたい・・・! よちさんも是非とも、瞬間で赤子を泣かせられる特殊能力を自ら認め、ちょっとしたパーティーの際に、それを話題に皆の人気者になっていただきたいと思う。
(よちさんより一言→「そこで俺は云ってやったのさ『だから朝食の目玉焼きは両面焼けと云っただろう?』ってね。Ha−hahaha!」→・・・何を云っておられるのでしょう。あと、何故、僕の腕を噛んでおるのでしょう。きっとお腹が減っておられるのだ。生肉を与えねば・・・!) |