其之弐百死拾六『八千さんと水蜘さん』の巻



「えー、無事公演終了っちゅうことで!」
「こうえんしゅうりょう…?何だそれは?」
「わからん!もらった紙になんかそう書いてあったから」
「意味もわからずよく読むなお前は」
「いやだってほら、お仕事だもんよ。『八千さんと水蜘さんでなんか喋ってくださいー』っていう…ん!?これなんで八千の名前のほうが先なんだよ?」
「タイトルが『八千水蜘』だからじゃないか…?」
「なに?タイトルって?」
「…なんだろう…(困惑)」
「っていうか、これからはオマエも万屋の一員として働いていくんだから、元祖万屋メンバーであるこの水蜘さんを立ててくれなきゃ困るぜ八千くん」
「しゃちょー…」
「なにそれ!?どこで覚えたの?!」
「サルが言っていた。自分は高利貸し屋のしゃちょーなんだそうだ」
「あいつ一人しかいねーじゃネェかよ。つか、オマエ、いい加減名前で呼びなさいね」
「サルはサルだ」
「そういやひふのヤツもこの前、八千から百米くらい離れたとこで『しらたきー』って叫んでたな…。ん?どこ行くんだ?」
「斬ってくる」
「斬るなぁ!」
「水蜘風に言うと、『どぉれ。ちょっと行ってどついてくるわー』」
「真顔で何言ってんだ!なんだよそのいかにも言いそうなことは!いやその前に、今は仕事中だから出てっちゃ駄目なんだぞ」
「駄目と言われると、逃れてみたくなる…」
「なにうまいこと言ってんだ」
「(んふー)」
「得意げな顔するんじゃない!」
「『今回、一番大変だったことは何ですか?』」
「ん?なんだそりゃ」
「質問カード、だそうだ」
「うーん…大変だったことかー。なんだろなー。柱に弾かれて吹っ飛ばされた時は世界回ったなー。頭痛ェし、あばら打つし」
「聞きたいことがある」
「八千から?」
「江戸街が崩れた時、お前も一緒に瓦礫に埋まってはずだ。なのに何故私より回復が早かったんだ」
「なんだそりゃ?オマエそんなこと気にしてたわけ?」
「どーうにも納得いかない」
「美利井図武〜戸気止ん婦をやってるからじゃねぇの?」
「何故目が泳ぐ?」
「いやー泳いでネェし」
「本当は?(ずい)」
「…えーと、八千が上に被さって、落下物のダメージ全部受けてたので、案外無事だったのだと思います…」
「……………………」
「怒ってる!目を剥いて小鼻を膨らませて怒っている!」
「んふー!んふー!」
「んふんふ言ってる!ハイハイ!次の質問!『八千さんの好きなご飯のお供はなんですか!?』」
「…昆布」
「地味だなー」
「…おかか」
「それ地味さ一緒じゃねェ?」
「塩むすび」
「お供じゃないだろ!」
「…魚焼いたやつ」
「なに魚?」
「…焼き魚」
「いや、調理法じゃなしに!なんの種類の魚がいいのかって」
「この前食べた…開いたやつ」
「アジかー」
「!(それだ!)」
「アジうまいけど、やっぱサンマミリンがいいなー」
「サンマミリン…(じゅる)」
「食べたいのか?」
「(コクリ)」
「じゃ今度なー」
「(ニヤ)」
「笑い顔怖いなー」
「(ムカ)」
「ちゅうわけで、やちみず対談ここまででーす!っていうかこれ対談か?しかもなんか全然思い出とか語ってネェしな!」
「私もお前も、思い出を語るような柄じゃあるまい」
「そいつはそうだな。思い出話は、すっげー歳とって刀なんかも握れなくなってからの楽しみにとっておくとしようぜ」
「そうだな」
「ひとまずはこれにて終幕だ!さ、八千、次の仕事に出向くとしようぜ!」
「次は何だ?」
「聞いて驚け!河童探し…だー!」
「…………阿呆らしい」
「あっ!コラテメェ待ちやがれ!いくら阿呆らしくても、うちはそれでおゼゼもらってんだよ!」

いつかまた、お会い出来るその時まで…。
『八千水蜘』・終幕。


(ご来場いただきました皆様、ありがとうございました!)