其之弐百麓拾駒『絶妙人間(一部犬)』の巻



《占い師》
「ほら…あの悩み聞いてくれる人に聞いてみたいよねー!…銀座のママ!!」
「○木さん、それ新宿の母ッス。銀座のママはホステスっしょ」
本日会社で行われた○木さんと僕の絶好調会話がコレだ。
確かに銀座のママも社長の悩みなどを聞いてくれるが…。

《映画》
「金曜ロードショーとかねー。そういえば先週『タイタニック』やってたじゃん」
「そうだねー」
「あ、じゃあ今日後編だー!」
…君よ。
『タイタニック』後編はね…前編の翌日に、もう終わっているんだよ…。
しかしまったく他人の、しかも金曜ロードショーを楽しみにしておられるお姉さんに「『タイタニック』はこの前の日曜に…もう沈みきりました…」とは、とても言えやしなかった。

《大好きな人と豆柴と》
「私今色々節約とかしてるけど、○○さんのために使うお金は惜しみませんから!!」
よちさんが大好きなあの人のDVDを買う時に、キリッとした顔で堂々放った一言。
大好きな豆柴を飼うために頑張っているよちさん。
だけど○○さんを好きな気持ちもまた、譲れぬよちさん…!!
グーとDVDの見本空箱を手にして「惜しみませんから!!」と、目をキラキラさせながら、よちさんはレジ方面へとニコニコ消えて行ったのだった。

《仕返し》
「………………窓だな」
関東が豪雨に見舞われた日の朝、歩行者と水溜まりの関係を颯爽無視で走った車に水をかけられたスーツ姿のサラリーマンが、長き沈黙の後にこの一言。
なるほど窓か。
リーマンよ、僕は「泥水たまりに顔」派である。
是非とも一度語り合いたいものだ。

《ポメラニアン》
「わんわんわんわんわんわんわんわん!!」
朝八時、既にテンション高しポメラニアン。
飼い主さんの立ち話相手に、吠えながら渾身の前足アターック!!
べいん!!
反動で弾かれヨタヨタヨタ。
少し離れて様子をうかがい…飼い主さんの周りを軽くランニング後、助走をつけて再度吠えながらアターック!!
だしっ!!
やった!!前足アタックが見事、立ち話相手の膝にヒットォ!!
(ふふ…軽く半月盤損傷だな…)とポメラニアンが勝利を確信した次の瞬間。
「あらー!元気ねぇー!」
わっしわっしわっしわっし!
撫でられたあああー!!
朝一ポメラニアン、敗北。

《マンボな男》
チャリに乗り、前方からやって来た男。
すれ違いざま、「ウッ!!」。
彼はおそらくマンボな男。
しばらく前から、彼の頭の中には(チャッチャチャラッチャチャッチャラッチャッチャ♪)という音楽が鳴り続けており、最終的にあの場所で(チャララッチャララッ)のシメ部分がやって来たと思われる。
「ウッ!!」

《投げっ放し慰め》
「うん…うん…、大丈夫だよ。元気出しなー。そんなの誰も気にしてないよ、大丈夫大丈夫」
ケータイでおそらく友人を慰める女子高生。
人を慰めるのはなかなか難しきもの。
女子高生も自らのテンションをあげて頑張っている模様。
「大丈夫だよ!○○の人生にはね…これからいい事しか待ってないから!!」
それは凄い。
買った宝くじは全て当たり、遊園地に行けば『来園一万人目』とかに当たるのか、○○の人生は。
慰められている相手が、「流石にそりゃネェよ…」とツッコンで友情を破壊しないことを切に願う。

《無邪気》
「あぎゃああああ!!あぎゃぎゃああああああ!!」
幼子がプラスチック製のお皿とお茶碗を持って、満面の笑みで店内を走り回っている。
そうかそうか。
ダ○ソーの皿がそんなに嬉しいか。
幼子の幸せは金額とは関係なしか…と、微笑ましく見つめれば、幼子は見事すっころんで茶碗をあっさり手放すのであった。

《強制だ》
「どうします?」
髪を切りに行った。
『しののね』のために伸ばしてはいるが、定期的に削がねばあっという間に膨らむ太毛のため、ボリュームダウンに余念がない。
今日も今日とて、ザリザリと凄い量の髪を削がれかるーく仕上がった我がヘアスタイル。
後は帰るばかりと思いきや、美容師鏡からふわーとフレームアウト。
そして再びインした時には、スプレー缶を握っていた。
「どうします?軽く整えますか?」
スプレー缶シャコシャコ。
何故鏡からフレームアウトする前に聞かなかったのだ美容師よ。
「………お願いし…ますっ…」
強制だ。


(ふらり立ち寄ったため、フード付きの服を着ていたことを忘れていたわたくしに、美容師のお兄さんは分厚いお姉さん雑誌をあてがってくれました…)