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日差しの強い或る日のこと こうして二人で逢うのも、3回目だ。 そろそろいいのではないか、と、思っている。 その・・・つまり、アレだ、こうして、貴重な休日を割いてまで、逢ってくれるのだから、少なくとも彼女は、僕に好意を持っていると・・・そう考えても、決して自惚れではないのではないだろうか、と。 横目で、頭一つ下にある彼女の顔をチラリと眺めてみる。 視線に気付いた彼女が、ふわっと微笑う。 「どうしたんですか?」 「ん? いや、何でもないよ。ずっと歩きっぱなしだけどへーき? 疲れてない?」 「全然! 天気もいいし、風も気持ちイイし。いくらでも歩けそう」 「もうちょっと行くと、確かボート乗り場があるよ。乗る?」 「乗る!」 か・・・可愛い、過ぎる・・・。くらくらくら。鼻血を出して、眩暈を起こして、その場に倒れ込みたくなる。神様、僕にトキメキをありがとう・・・。 が、無論、実行してしまったら、確実にヘンな男なので、実際には穏やかにニコリと微笑み返してみせただけだ。 目が合った瞬間、彼女の頬がちょっと赤くなり、パッと視線を反らされる。 「ほ、ホント今日は良いお天気ですねっ、ええ!」 上擦った声。・・・もしかして・・・照れてる・・・? 脈あーり!! 胸の中の太鼓判が、僕の身体のあちこちに『GO!』のスタンプを押しまくる。 い・・・行ける! これは、行ける・・・! 彼女は、友達の妹、というそれはそれは複雑な位置にいる女の子で。ぶっちゃけ、僕の一目惚れとゆーやつだったわけだが、それはもう、あの手この手を使って接近し、友人の不審の目もかいくぐり、どーにか、こーにか、こうして、麗らかな休日を一緒に過ごせるようになった次第。 しかし、最初は「あの娘と二人だけで会えたらいいな、夢のように幸せだろうな」だったのが、いつのまにやら、もっと先、更にその先へ、と・・・カラダが、ココロが、求めるようになってる。すいません、僕、健康な男子なんで。 足下にいた鳩が突然、飛び立ち、彼女が小さく悲鳴を上げる。 「・・・っと」 「あ、ごめんなさい」 よろけた身体が僕の腕に当たる。 柔らかい感触。髪からふわりと漂う花の香り・・・。 ぎゃぁぁぁ! ダメ、かなり、ダメ!! 胸がぎゅんぎゅんするッ!! ナイスプレーだ、鳩!ううう・・・。何か、変な汗出てきた・・・。彼女の一挙一投足に、過剰なくらいにココロが 揺れる僕はもしかして、ヤバイ人じゃないだろうか。 い、今まで、こんなことなかったのに・・・! いつだって、自分のペースで好きなようにコトを進めて来れたのに! 何故、彼女にだけ、こんなにも! 「そう言えば私、ボートに乗るのって初めてかも。ちゃんと漕げるかなぁ? 難しいですか、ボート漕ぐのって?」 「いや・・・コツを覚えれば、そうでもないよ・・・って、漕ぐ気なの? あれ、結構、チカラいるんだよ?」 悲しいかな、大人な僕は、どんなに心が荒れていても表面上は穏やかさを保っていられたるする。正直、自分でも何を言ってるんだか良く分からなかったりするんだけど、彼女が、怪訝そうな顔などをしないところを見ると、やはり、普通に喋っているように見えるんだろう。 「大丈夫ですよ。あたし、結構、チカラあるんです、ほらっ!」 に、二の腕を・・・そんな無防備に、僕の前に晒しちゃダメなんっだってば! し、白い・・・。 柔らかそう・・・。 ゴクッ。 あ、喉が鳴ってしまった・・・うあああ、変態丸出しだってば、これじゃ! しっかりしろ、自分! 彼女には、今の音が聞こえただろうか? 聞こえていたなら、それをどう思っただろうか?見透かされてしまっただろうか? 「・・・どうしたんですか?」 きょとん、と僕を見上げるその瞳はいつも通りに澄んでいて、そこには不審や軽蔑の色は浮かんでいないことに、ホッとしたりする。 「いやいやいや・・・。売店で何か買って、ボートで食べようか。ちょっとお腹空いたよね」 「あ、はい、私買ってきます!」 言うが早いか、彼女は売店に向かって走り出す。 「あ、お金!」 後ろ姿に慌てて声を掛けると、「今日はあたしがご馳走します♪」と軽やかな声が返ってきた。 「・・・どうして、あんなに可愛いんだ・・・」 完全に頭がイカれてるとしか思えない独り言が、溜息と一緒に溢れた。 僕の目には、彼女が可憐に見えすぎて、一緒にいるだけで、アガッてしまって、ヨコシマなことを考えるだけで、罪悪感がムクムクと湧いてきて・・・結局何も出来ない。 まるで中学生だ。 でも・・・。 そろそろいいのではないか、と思ってるのも事実で。色んな意味で限界に来ていて。 せめて、今日は・・・勇気を出して手くらい握ってみよう! と心に誓ってみる僕だった。 |